2009 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患発症に関与する心理因子と炎症・代謝異常・自律神経機能についての疫学研究
Project/Area Number |
19590629
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平 哲也 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (50448031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
谷川 武 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80227214)
今野 弘規 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90450923)
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Keywords | 成人保健 / ストレス / 自律神経 |
Research Abstract |
【目的】心理因子と循環器疾患発症との関連には自律神経系が介している可能性が指摘されている。そこで、心拍変動による自律神経機能と身体・心理的因子との関連を横断的に検討することを目的とした。 【方法】対象は2009年までに大阪府立健康科学センターの健診を受診し、自律神経機能検査を受けた男女979人(平均年齢47歳)である。対象者には、健診時に生活習慣、身体・心理的因子に関する検査を実施するとともに、安静時の心拍モニタリング検査を5分間実施した。心拍変動を周波数解析により、Low frequency(LF)、High frequency (HF)を算出し、LF/HF比を交感神経系機能の指標として解析に用いた。解析は、男女別にLF/HF比と生活習慣、身体・心理因子との関連を検討した。 【結果】男女ともに、LF/HF比は年齢、肥満度と有意な正の関連がみられた。生活習慣との関連をみると、男性では喫煙量・飲酒量が多い者ほどLF/HF比が高く、また、遅い夕食、いびきとの正の関連がみられた。女性では喫煙・飲酒との関連は明らかではなかったが、朝食を抜くこと、塩分を多く摂るとことLF/HF比との間に有意な正の関連がみられた。循環器危険因子との関連をみると、男女ともにLF/HF比が高い者ほど高血圧、糖尿病の割合が多く、男性では、総コレステロール、LDLコレステロール、GPT、γGTPの平均値が高く、女性ではGPT、γGTP、尿酸の平均値が高く、HDLコレステロールの平均値が低かった。心理因子との関連については、男性ではLF/HF比が高い者ほど将来の希望が低く、積極的ストレス対処行動が少ない傾向がみられた。女性では身体症状の訴えが多いことと正の関連がみられた。 【結論】心拍変動で測定される自律神経系機能は生活習慣、身体的循環器危険因子、および心理因子のいずれにも関連していた。自律神経機能は将来の循環器疾患発症と関連することが報告されていることから、心理因子と循環器疾患との関連を検討する上で有用な検査である可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)