2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの労働者におけるメタボリックシンドロームの疫学的研究
Project/Area Number |
19590630
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
岩本 麻実子 Shimane University, 医学部, 助教 (90432616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩飽 邦憲 島根大学, 医学部, 教授 (10108384)
山崎 雅之 島根大学, 医学部, 助教 (60379683)
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Keywords | 産業衛生 / メタボリックシンドローム / 糖尿病 / 疫学 / 東アジア |
Research Abstract |
寧夏回族自治区銀川市在住の20〜60歳の労働者691人(男性431人・平均39.7歳、女性260人・平均38.2歳)を対象に、メタボリックシンドローム(MS)を対象としたコホート研究のベースライン調査を行った。生活習慣、現病歴、職場環境等に関する健康調査票の記入、絶食状態で体格測定、血液生化学検査を行った。 食習慣では、韓国人は高炭水化物・低脂肪食、モンゴル人は高脂肪・低炭水化物食であり、日本人と中国人はその中間である。中国人の摂取エネルギー当たりの炭水化物摂取割合は57%で日本人と同様であるが、脂肪の摂取割合は多かった(31%vs27%)。週2回以上の運動習慣は、男性43%、女性41%で、男女とも50歳代で最も高率であった。日本の同年代労働者(男性14%、女性26%)よりも運動習慣の実行率は高率であり、若齢期から運動習慣を実践していた。 BMI25kg/m^2以上の割合は、男性42%、女性13%であり、同年代の日本人男性28%、女性20%よりも男性で有意に高率、女性では低率であった。国際糖尿病連盟による中国人のMS判定基準を用いた内臓肥満の割合は、男性39%、女性24%で、MSの有病率は男性23%、女性10%と男性で高率であった。循環器疾患危険因子数は男女ともに加齢とともに割合が増加したが、男性では30歳代より増加、女性では、40歳代より増加し、閉経後の50歳代で顕著に増加していた。 白人と異なる遺伝と生活習慣を有する日本人、韓国人、モンゴル人と同様に、中国人も軽度な肥満の割に、代謝異常の多いことが明らかになった。高炭水化物摂取は高中性脂肪血症に寄与しているため、こうした食習慣が中国人の脂質異常の高さに関連しているものと考える。 今後、さらに対象者を拡大し、同一研究プロトコールに基づいた日本、中国、韓国、モンゴルでのコホート研究を実施する予定である。
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