2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本人循環器疾患へのメタボリックシンドロームの関与の検討
Project/Area Number |
19590639
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 重幸 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (60253994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20359996)
宮崎 義則 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00372813)
島本 和明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40136940)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 疫学 / 心血管疾患 |
Research Abstract |
今年度は縦断研究によりメタボリックシンドローム(MetS)および腹部肥満症(AO)の冠危険因子に与える影響を検討した。腹囲によって評価されるAOは、MetSの発症基盤とされるが、腹部肥満が高血圧(HT)の発生のための予測因子であるか否かは明らかにされていない。本研究では一般住民健診結果の解析から、HTの発生率を調査し、腹部肥満の関与の影響を検討した。対象は、北海道端野町と壮瞥町で1994年と2002年の両年に健診を受けた男性187人と女性209人のである。1994年のHTの参加者は対象より除外した。日本人のMetSの診断基準より腹囲で男性85cm以上、女性の90cm以上を、AOと定義し。対象を、非AO群とAO群の2群に分類し、両群で高血圧発症頻度を比較した。高血圧発症は正常血圧から収縮期血圧140mmHg以上または/かつ拡張期血圧90mmHg以上となったもの、あるいは降圧薬服用が開始となったものと定義した。HTの発生率は、非AO群でよりAO群で有意に高かった。BMIを含む多変量調整のためのロジスティック回帰分析では、AOの存在はHTの発症相対危険を2.33(p=0.017;95%CI、1.17-4.63)、観察期間の1cmの腹囲の増大は1.06(p=0.003;95%CI、1.02-1.10)であった。本研究の結果は、腹部肥満症の管理が日本人でのHTの発生の予防にとって重要であることを意味し、HT発症予防のために喫煙の有無やBMIの程度や腹部肥満症の有無にかかわらず、腹囲増大に注意を払う必要性を示唆する。本研究ではこれまでに、MetSが糖尿病発症の強力な予測因子であることを示し、これはBMIで補正しても成立し、BMIよりも強力な予知因子であることを示している。また腹部肥満が是正された群からのHT, DMの発症が有意に減少することから、MetS、腹部肥満への介入は日本人の循環器疾患予防に有用である可能性が示唆される。
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