2008 Fiscal Year Annual Research Report
わが国における近年の出生性比の低下傾向の原因に関する検討
Project/Area Number |
19590642
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 美保子 Yamanashi Prefectural University, 看護学部, 講師 (50255121)
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Keywords | 出生性比 / 人口動態統計 / 季節格差 / 死産 |
Research Abstract |
近年の出生性比(性比)の低下傾向の原因を検討することを目的として、人口動態統計を用いて、性比の経時的推移の観察を行った。平成19年度には、「性比に月間格差がある。その格差は1970年頃を境に変化した。1970年頃までの上昇傾向は4-5月で他月に比べて著明であり、1970年頃以降の低下傾向は4-5月が他月に比べて緩やかであった」ことを明らかにした。本年度は、さらに月別に死産を観察し、その現象(性比の季節格差)の合理的解釈を試みた。 1、指標の検討 死産率は、出産数(出生数+死産数)に対する死産数の割合として定義され、観察されている。しかし、その定義での死産率は、分母の出生数(出生数に季節格差がある)の影響を大きく受けてしまう性質があった。そこで、死産の季節格差の観察に用いる指標を検討し、新しい指標、「月別妊娠期間標準化死産率比」を提案した。 2、死産の季節格差の観察 1で提案した指標を用いて、死産の季節格差を観察した。自然死産、人工死産ともに、月別妊娠期間標準化死産率比(死産率)は、1990年頃まで9月に最高、次いで2,6月に高く、11,12月に最低であったが、1990年頃以降は、2,9月が最高、6,11月が最低となった。1990年頃以降、死産率が最高となった2月の死産児の出生予定月7-8月の性比は、死産率の低い11月の死産児の出生予定月4-5月の性比より低下傾向が著しい。自然死産率が高いと出生性比は低いと一般的に考えられている。本結果は、1980年以降の性比の月間格差が、死産率の月間格差によってもたらされているのではないかという解釈を支持するものであった。死産の月間格差と関連する要因が、近年の性比低下傾向の原因の1つである可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)