2007 Fiscal Year Annual Research Report
障害調整健康寿命(DALE)算出のための効用値の測定と評価指標としてのDALE
Project/Area Number |
19590650
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
栗盛 須雅子 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 客員研究員 (20433609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 吉治 山口大学, 医学部, 教授 (60252029)
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Keywords | 効用値 / 健康寿命 / 一般の人 / 専門家 / 効用値測定尺度 / 信頼性 / 妥当性 |
Research Abstract |
【研究背景と目的】介護保険統計を用いた障害調整健康寿命(DALE)算出のため、平成19年度では専門家(訪問看護師、ケアマネジャー)を対象に、効用値(0〜1の値)を測定した。本年度では一般の人を対象に測定した効用値の信頼性と妥当性を検証し、専門家で測定した効用値の検証を行った。 【研究方法】東京都足立区と岩手県洋野町在住の65歳〜80歳の男女計300名を住民基本台帳から無作為に抽出し、自記式質問調査を行った。効用値は1名に付き、無作為に選択した1つの介護度について、3つの効用値測定尺度、VAS(視覚アナログ尺度)、TTO(時間得失法)、SG(基準的賭け法)を用いて測定した。効用値の信頼性は一元配置分散分析を行い、尺度ごとの介護度間の効用値の差で検証し、収束妥当性は対応のあるt検定を用いて、尺度間の効用値の差によって検討した。 【研究結果】分析対象者は140名(回収率46.7%)であった。効用値は、VAS(介護度順、0.61、0.58、0.61、0.55、0.46、0.39、0.46)SG(0.64、0.65、0.65、0.58、0.43、0.42、0.55)TTO(0.63、0.63、0.62、0.48、0.45、0.29、0.37)であった。一元配置分散分析の結果、21の組み合わせ中、VASは5組に有意差があり、他の尺度は有意差がなく、VASがもっとも介護度間の識別能力が高いことがわかった。t検定はTTOとVAS、TTOとSGは有意差がなく、VASとSGは有意差があった。 【考察と結論】一般の人は介護度の識別ができていないことから、測定した効用値は信頼性・妥当性が低いと考えられた。専門家で測定した効用値は、一元配置分散分析では、VASは20組に有意差があり、他の尺度より信頼性と妥当性が高かったため、効用値はVASを採用した。一般の人の枠を広げる必要もあると考えられるものの、専門家を対象に測定した効用値の方が信頼性と妥当性が高いことから、国の健康福祉政策に活用するDALEの算出にはその効用値を用いる必要があると考えた。
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