2008 Fiscal Year Annual Research Report
女性における動脈硬化性疾患予防の観点から見た適正飲酒に関する研究
Project/Area Number |
19590656
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
若林 一郎 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (70220829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40333950)
高橋 裕二 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20292443)
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Keywords | 保健栄養 / 動脈硬化 / 飲酒習慣 / 性差 / 喫煙 |
Research Abstract |
【目的】動脈硬化リスク要因に対する飲酒の効果を男女で比較し、さらに女性における飲酒の動脈硬化リスク要因への効果の国際比較を行った。【方法】事業所健康診断のデータベースを用いて飲酒と血圧および血中脂質との関連性を男女別に比較した。また、我が国(山形県)での産業保健における事業所健康診断のデータベースとオーストリア共和国グラーツ大学での住民健康診断のデータベースをもとに、両国間の動脈硬化関連検査データと飲酒との関連性について比較検討を行った。【結果】血圧と飲酒との関連性は女性に比べて男性でより強く、逆にHDLコレステロールと飲酒との関連性は女性でより強かった(Am J Hypertens 2008)。飲酒群でのnon-HDLコレステロールおよびLDLコレステロールの低下も女性でより著明であった(Clin Chim Acta 2009)。飲酒と喫煙は交互作用を示し、喫煙群では飲酒と血圧およびLDLコレステロールとの関連性がより強く、この喫煙の効果には男女差は認められなかった(Blood Press 2008;Alcohol Alcoholism 2009; Gend Med 2009)。血圧や血中脂質への飲酒の影響に関して両国の女性グループ間で有意な差はみられなかった。上述の飲酒と血圧およびHDLコレステロールとの関連性におよぼす喫煙の影響についても両国間で差はみられなかった。一方、我が国のデータでは非喫煙者および喫煙者のいずれの群においても飲酒群ではLDLコレステロールが有意に低く、この飲酒の効果は非喫煙群に比べて喫煙群でより強かったが、グラーツ大学でのデータでは非喫煙者では非飲酒群に比べて飲酒群でLDLコレステロールが有意に高かったのに対して、高度喫煙者では飲酒群でLDLコレステロールが有意に低かった。【結論】血圧および血中脂質と飲酒との関連性には性差が認められ、女性では飲酒による血中脂質を介する抗動脈硬化作用が強い反面、血圧を介する動脈硬化促進作用は弱いことが示唆された。さらに、飲酒とLDLコレステロールとの関連性に欧米人と日本人との間で差がある可能性が示唆され、日本人では飲酒のLDL低下作用が強い可能性がある。
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Research Products
(5 results)