2007 Fiscal Year Annual Research Report
家系内遺伝子検索による先天性銅代謝異常症(ウィルソン病)の予防医学的研究
Project/Area Number |
19590658
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中山 憲司 Hokkaido Institute of Public Health, 健康科学部, 研究職員 (30442594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 芳伸 北海道立衛生研究所, 感染症センター生物科学部, 遺伝子工学科長 (00414326)
鈴木 智宏 北海道立衛生研究所, 感染症センター生物科学部, 研究職員 (10414327)
澤田 幸治 北海道立衛生研究所, 所長 (80111128)
清水 教一 東邦大学, 医学部第二小児科, 講師 (60256740)
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Keywords | ウィルソン病 / 銅代謝異常症 / ATP7B / 遺伝子診断 / プロテオーム解析 / 予防医学 |
Research Abstract |
ウィルソン病(WND)は、およそ3万人に1人の割合で発症する常染色体劣性遺伝形式をとる先天性の銅(Cu)代謝異常疾患である。日常生活において摂取されるCuが、正常に月刊蔵から胆汁中に排泄されず、肝臓・脳・腎臓・角膜などに多量に蓄積し、重度の障害を起こすと考えられている。多量に蓄積したCuにより、小児期に重い肝障害や中枢神経障害を呈する。WNDでは、第13番染色体に位置するATP7Bと呼ばれるCuの細胞内輸送を担う膜蛋白質(トランスポーター)の遺伝子に異常が認められる。その遺伝子異常によって、Cuトランスポーターの機能が障害され、肝細胞内から胆汁中への正常なCuの排泄が阻害され、肝臓や脳に多量のCuが蓄積すると考えられている。また、Cu結合タンパク質であるセルロプラスミン(Cp)へのCuの供給も障害され、その生成が阻害されている。1993年のATP7B遺伝子の発見以来、現在までに報告された病因変異は300種を越え、ATP7B遺伝子全領域に分散し、その様相も極めて多様なために、変異遺伝子型と病態との関連性に関する研究はほとんど進展していない。本研究課題においては、WNDの患者を有する家系において、病因遺伝子の家系内検索を利用し、発症前患者の早期発見を試みている。 平成19年度は、1歳6ヶ月〜27歳までの新規の9症例に関する遺伝子解析の依頼を受け付けた。そのうち、6症例が遺伝子解析適応と判定された。現在までに、道内症例1件を含む4症例に関する遺伝子解析を実施した。その内、3症例において既知の病因変異(R778L,A874V)を検出している。1家系に関しては同胞例(姉)も同一の病因変異を有しており、臨床データも境界値を示し、発症前患者の可能性を否定出来ないことから、現在、慎重にフォローしている。
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