2007 Fiscal Year Annual Research Report
死別体験後の複雑性悲嘆に対するエビデンスに基づいた介入技法に関する研究
Project/Area Number |
19590660
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
飛鳥井 望 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 参事研究員 (30250210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 恭子 上智大学, 総合人間学部, 教授 (20247414)
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Keywords | 悲嘆反応 / 複雑性悲嘆 / 外傷後ストレス障害 / 死別 / 遺族 / 殺人 / 事故 / 自殺 |
Research Abstract |
本研究はShear K.(米国コロンビア大学)らによって開発された認知行動療法技法である複雑性悲嘆治療プログラム(Comphcated Grief Treatment:CGT)の本邦における予備的研究をさらに発展させることを目的としたものである。初年度である本年度は、CGTの日本語マニュアル及び各種書式を、本邦における実際の使用に合わせて修正し内容の向上をはかった。またプログラムについては原法のCGTを一部修正し、暴力的死別(殺人、事故、自殺)を体験した遺族に、より焦点を合わせた構成内容を組み立てた。被験者としてのプログラム参加症例は、犯罪被害者支援団体や医療機関等から殺人や事故の被害者遺族ならびに自死遺族の紹介を受けた。さらに兵庫県こころのケアセンターにおいて研究協力者(精神科医)に技法のトレーニングとスーパービジョンを行い、列車事故遺族にCGTを実施した。第23回国際トラウマティック・ストレス学会(米国)及び第27回日本社会精神医学会(福岡)において、第1報として9症例(殺人4、事故5)についてプログラム実施前後の変化を中心として報告した。プログラム前後でPTSD症状尺度、抑うつ尺度、外傷性悲嘆尺度のいずれも平均得点が有意に減少していた。症例は引き続き蓄積中であるが、予備的結果として有用性を示唆することができた。また暴力的死別による複雑性悲嘆に関する文献のレビューを行い、研究プログラムの紹介も合わせて総説論文として専門誌に発表した。
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