2008 Fiscal Year Annual Research Report
死別体験後の複雑性悲嘆に対するエビデンスに基づいた介入技法に関する研究
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19590660
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
飛鳥井 望 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 参事研究員 (30250210)
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Keywords | 悲嘆反応 / 複雑性悲嘆 / 外傷後ストレス障害 / 死別 / 遺族 / 殺人 / 事故 / 自殺 |
Research Abstract |
死別体験はしばしば遺族に慢性の病的悲嘆を生じる。本研究はとくに暴力的死別(殺人、事故、自殺)遺族のPTSDを伴う悲嘆を対象とし、認知行動療法である複雑性悲嘆治療プログラム(CGT)の本邦における予備的研究の発展を目的としている。昨年度(初年度)は、プログラム実施に合わせてマニュアルや手法の検討を行うとともに、共同研究施設でのスーパービジョンを実施した。本年度は引き続き症例を蓄積し、計15例(すべて女性:殺人7,事故6,自殺2)がエントリーし、うち13例(殺人6,事故6,自殺1)が週1回90分計15セッションのプログラムを終了した(中断2例)。プログラムの開始前、終了後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の時点において、PTSD診断面接尺度(CAPS)、自記式PTSD症状尺度(IES-R)、抑うつ尺度(CES-D)、全般健康尺度(GHQ-28)、外傷性悲嘆尺度(ITG)により症状評価を実施している。本年度末時点において、13例全例が6ヶ月後追跡調査までを終了した。その結果、下記(N=13)のように、いずれの尺度においてもプログラム前後で症状得点に有意な減少を認め、その効果は6ヶ月後の追跡調査時点においても維持されていることが確かめられた。次年度(最終年度)は1年後追跡評価を終了し、最終結果をまとめる予定である。 CAPS:開始前61.2,終了後22.2,6ヶ月後32.5;IES-R:開始前47.5,終了後14.7,6ヶ月後20.9 CES-D:開始前29.5,終了後16.4,6ヶ月後19.2;GHQ28:開始前16.0,終了後5.78,6ヶ月後10.5 ITG:開始前73.2,終了後39.1,6ヶ月後46.6 なお共同研究施設(兵庫県こころのケアセンター)では列車事故遺族4例、震災遺族1例を対象としてプログラムを実施した結果、5例中4例でプログラム前後でのPTSD症状の有意な改善を認めた。
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Research Products
(7 results)