2007 Fiscal Year Annual Research Report
都市住民における循環器疾患の危険因子の集積と血管部位別の動脈硬化進展度との関連
Project/Area Number |
19590663
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Research Institution | Osaka Medical Center for Health Science and Promotion |
Principal Investigator |
北村 明彦 Osaka Medical Center for Health Science and Promotion, 健康開発部, 部長 (80450922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 武夫 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康度測定部, 参事兼医長 (70450921)
前田 健次 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 主幹兼医長 (00416182)
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
大平 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50448031)
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Keywords | 都市住民 / 循環器疾患 / 動脈硬化 / 内頸動脈 / 石灰化 / CT検査 / 危険因子 / スクリーニング法 |
Research Abstract |
本研究は、都市住民を対象として、循環器疾患発生の基盤となる動脈硬化性病変を血管部位別に検査し、血管部位による動脈硬化進展度の相違ならびに危険因子の集積との関連を明らかにすることを目的とする。平成19年度は、評価法が未だ確立されていない頭蓋内内頸動脈の石灰化について、動脈硬化性所見としての意義を検討するため、医療機関に脳梗塞で入院した患者49例(男22例、女27例。平均年齢57.4歳)を対象として、単純CT検査で評価した内頸動脈の石灰化とCT Angiography検査より評価した同血管の狭窄度との関連を検討した。石灰化の評価にあたっては、冠状動脈の石灰化の定量化法として確立しているAgatston法を用い、内頸動脈の石灰化スコアを算出した。石灰化の評価部位は、左右の血管を別血管として計98本の血管について、内頸動脈が前床突起部を縦走する部位(以下、C1)と海綿静脈洞部を横走する部位(以下、C4)のうち、画像再構成スライス厚1mmで肉眼的に石灰化の面積が最も大きい部位とした。その結果、C1において石灰化を認めなかった68本の血管のうち、66本(97%)において狭窄は認められなかったのに対し、石灰化を認めた30本の血管のうち、狭窄無しは13本(43%)、25%未満の狭窄は10本(33%)、25%以上の狭窄は7本(23%)と非石灰化血管に比し有意に狭窄の割合が高かった(P<0.001)。さらに、石灰化血管のうち狭窄を認めた血管の割合は、石灰化スコアか10未満の群、10以上50未満群、50以上の群の順に、40%、67%、100%となり、石灰化スコアが大きい群ほど狭窄を有する割合が高かった。この傾向は、C4でも同様であった。以上より、頭蓋内内頸動脈の石灰化は、同部位の狭窄と正の関連があり、動脈硬化所見の指標となることが定量的に示された。今回関発した石灰化スコアは、造影剤を使用しない単純CT検査における脳動脈硬化スクリーニング法として有用であることが示唆された。
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