2008 Fiscal Year Annual Research Report
都市住民における循環器疾患の危険因子の集積と血管部位別の動脈硬化進展度との関連
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19590663
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Research Institution | Osaka Medical Center for Health Science and Promotion |
Principal Investigator |
北村 明彦 Osaka Medical Center for Health Science and Promotion, 健康開発部, 部長 (80450922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 武夫 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康度測定部, 参事兼医長 (70450921)
前田 健次 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, 健康開発部, 主幹兼医長 (00416182)
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
大平 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50448031)
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Keywords | 都市部 / ドック受診者 / 網膜細動脈硬化 / 頸動脈硬化 / 冠状動脈石灰化 / 脳底部内頸動脈石灰化 / 高血圧 / 糖代謝異常 |
Research Abstract |
本研究は、都市部のドック受診者を対象として、循環器疾患発生の基盤となる動脈硬化性病変を血管部位別に検査し、血管部位による動脈硬化進展度の相違ならびに関連因子を明らかにすることを目的とした。最終的な解析人数は男女計2756人(平均年齢59±11歳)となった。性別にみた各動脈硬化所見の頻度は、冠状動脈石灰化は男で41%、女で28%、脳底部内頚動脈石灰化は男で60%、女で71%、総頸動脈壁肥厚は男で34%、女で22%、内頸動脈壁肥厚は男で44%、女で31%、網膜細動脈の高血圧性変化または動脈硬化性変化は男で32%、女で21%、脈波伝搬速度高値は男で68%、女で61%であった。各々の動脈硬化所見の関連因子を検討した結果、血管部位により動脈硬化の促進要因の影響力が異なることが示唆された。また、壮年男性では高齢男性や女性よりも、網膜細動脈硬化、頸動脈硬化および冠動脈石灰化を有する者の割合が大きく、その原因として、高血圧、糖代謝異常、メタボリックシンドロームを有する者の割合が比較的高いことが影響していると考えられた。さらに、男女ともに、肥満の有無に関わらず、リスク因子(高血圧、高血糖、脂質異常)の集積個数が多いほどいずれの動脈硬化所見の頻度も高くなることも明らかとなった。 本研究により、都市部の壮年男性では、高血圧、糖代謝異常等のリスクの集積とも関連し、眼底動脈の細動脈硬化ならびに冠状動脈や頸動脈の粥状硬化か進展している者の割合がより大きいことが明らかとなり、都市部の壮年男性に対する動脈硬化進展の予防対策の重要性と重点的に介入すべき危険因子が示された。また、肥満していないリスク集積者における動脈硬化進展者の割合も少なくないことから、今後、多様な危険因子の集積パターンをもつ個人に対し動脈硬化所見を総合的に評価することの重要性が示された。
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