2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590668
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
早川 睦 Chiba University, 大学院・医学研究院, 講師 (20323397)
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Keywords | 法医学 / CT / 検視 / 異状死体 |
Research Abstract |
本研究の目的は異状死体の検案時に画像診断を行うことで解剖適応のない異状死に対しより正確な死因診断を行うこと、また本来正式に解剖すべき犯罪に関連する外因死を見逃さないことの2つの利点をCTを撮影することにより証明することである。本学法医解剖棟に設置した遺体専用のCTを用いてより多くの検案例で撮影を行い、死因の診断を行うことでその有用性を示し、ひいては今後異状死体の検案に恒常的にCTを導入する方向に導いて行くことである。尚、本研究は千葉大学大学院医学研究院の倫理委員会の承認を得ている。これに沿って本研究は千葉県警察本部並びに千葉県警察医会の協力の下に昨年度に引き続き平成20年4月1日より平成21年3月31まで行った。対象は検視にて事件性がないと判断されたものの、外表所見のみでは死因の判定が難しい例で、本大学の法医解剖棟に遺体を搬送、全身を撮影し、申像を読影の上死因を診断、検案時の所見と比較した。この期間には23例の検案を行った。死因を特定できたものは7例で、その内訳は硬膜下血腫2例、腹膜炎1例、肝臓癌1例、大動脈瘤破裂1例、緊張健気胸1例、クモ膜下出血1例であった。不明であったが死因を示唆する何らかの疑わしい所見があったものは5例、死因を推定する所見がCTでは得られなかったものは9例であった。このうち硬膜下血腫、緊屈性気胸の4例は外因死が疑われ、不明の1例は過去に交通事故を起こしていたことから因果関係を否定するためから、計5例司法解剖が行われた。昨年度の報告では31例中18例、即ち約58%で死因を特定或いは推定でき、今年は23例中12例、即ち約52%と昨年と類似の割合で死因の特定或いは推定が可能であった。半数近くの死因が不明のままであることは今後課題となるであろうが、異状死体の死因を外表から推定するしかない現在の検視制度においてはCTを撮影することが有用な手段であることが更に示された。
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