2008 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸添加によりガスクロマトグラフィーの感度を上昇させる方法の研究
Project/Area Number |
19590669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂 幹樹 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 技術専門職員 (30447388)
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Keywords | ガスクロマトグラフィー / カルボン酸 / 薬物分析 |
Research Abstract |
ガスクロマトグラフィー(GC)の測定において極性のある化合物は吸着による感度低下を引き起こす。そこで、我々は溶媒に酢酸を添加し、対象物質の吸着を減らす方法を提案した(Acetic acid improves the sensitivity of theophylline analysis by gas chromatography-mass spectrometry. J. Chromatogr. B 2007; 846, 240-244)。本研究においては、その方法がバルビツール酸類の定量分析を行うに十分な方法である証明を行った。添加するカルボン酸としてギ酸を用いた。吸着性物質の測定において最も注意を払わなければならないのは、抽出の残留物である夾雑物が感度を上げる効果である。夾雑物が異なってもカルボン酸添加法を用いれば、感度・再現性を向上させることができることを示すために、夾雑物がより少なく抽出される固相抽出と多く抽出される液-液抽出の2通りで実験を行った。最終溶媒が酢酸エチルの場合、より夾雑物の多い液-液抽出の方が良い感度を示した。しかし、溶媒を3%ギ酸酢酸エチルにすると、どちらの抽出でもほぼ同じ良好なレスポンスが得られ、感度・再現性が改善された。この分析法の正確さ・精度を調べたところ、固相抽出、液-液抽出のどちらでも良い値を示した。その他、検量線の相関係数や定量限界なども調べ、論文(Determination of amobarbital and phenobarbital in serum by gas chromatography-mass spectrometry with addition of formic acid to the solvent. J. Chromatogr. B 2008; 869, 9-15)を発表した。GC-MSで誘導体化をせずに感度・再現性を上昇させる新たな分析法を確立することができた。
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