2008 Fiscal Year Annual Research Report
鑑定試料中違法薬物の迅速検査法と新規前処理基材によるハイスループット分析法の研究
Project/Area Number |
19590673
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奈女良 昭 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30284186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 まなみ 広島大学, 技術センター, 技術長 (60379914)
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Keywords | 薬物分析 / スピンカラム / モノリス |
Research Abstract |
本研究は、トリプタミン系およびフェネチルアミン系薬物を合成して標準品の整備を行うとともに、尿・血液などの法医鑑定試料中違法薬物の迅速検査法と新規前処理基材(モノリス)によるハイスループット分析法を開発し、予試験から同定・定量分析に至るまでの系統的検査法を確立して、代謝機構や死因解明の-助とするとともに薬物乱用防止に役立てることを目的とする。 本年度は、ジーエルサイエンス(株)の試作品であるスピンカラム(C18タイプのマイクロチューブ(1.5ml用)、シリカタイプ膜状モノリス)を使用し、GC/MS法による覚せい剤類の分析について重点的に検討した。スピンカラムを用い、尿0.5mlから覚せい剤類(メタンフェタミン、アンフェタミン、MDMA、 MDA)の抽出と誘導体化を同時に行った結果、0.01〜5.0μg/mlの範囲で直線性が得られ、ばらつきは1.4〜12.3%であった。また、中毒患者の尿を使用して、既存の方法(TFA誘導体化-GC/MS法)との精度や操作性を検討した結果、遜色のない結果が得られ、操作性も向上した。 また、スピンカラムを使用し、薬物の性質(酸性、中性、塩基性)と尿からの抽出効率の相関性を検討した結果、バルビツール酸類の酸性系薬物は液性を酸性にすることで、局所麻酔薬や中性薬物は、液性を中性あるいはアルカリ性にすることで回収率の向上が見られた。三環系抗うつ薬類の塩基性薬物は液性をアルカリ性にすることで回収率の向上が見られたが、強アルカリにすると回収率は減少した。この現象は、スピンカラムの残存シリカの影響と考えられた。 さらに、尿外の試料についても検討した。血清、全血ともに5〜10希釈することでスピンカラムを通過できた。血清については、尿と同様の薬物回収が可能であったが、全血は回収率が低下した。上記の結果を踏まえ、来年度以降は、系統的検査法の確立を目指す。
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