2007 Fiscal Year Annual Research Report
体組織中のγ-ヒドロキシ酪酸濃度の臨床法中毒学的解析に関する研究
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19590675
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
守屋 文夫 Kochi University, 医学部, 准教授 (40182274)
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Keywords | 法中毒学 / 臨床中毒学 / 内因性γ-ヒドロキシ酪酸 / クレアチニン / 尿pH / 死後産生 / 血液 / 脳 |
Research Abstract |
健常成人86名から同意の下に提供された尿の内因性γ-ヒドロキシ酪酸(GHB)濃度、クレアチニン(CRE)濃度およびpHは、それぞれ0.03-2.1μg/ml(平均0.35±0.29μg/ml)、13.1-429mg/dl(平均137±67mg/dl)および5.1-7.5(平均6.4±0.6)であった。内因性GEB濃度とCRE濃度との間には正の相関(r=0.59)が認められた。被験者1名から約4ヵ月間にわたって提供された尿試料による検討では、CRE補正したGHB濃度とpHとの間に比較的良好な正の相関(r=0.50)が認められた。また、4名の被験者にGABA 250mg/dayを5日間摂取してもらったが、内因性GHBの尿中排泄パターンに変化は認められなかった。 腐敗が軽微であった剖検65例の血液、尿および脳の内因性GHB濃度を測定したところ、その平均値は血液で7.59±5.10μg/ml、尿で3.13±2.1μg/mlおよび脳で1.46±0.77μg/gであり、各体組織の内因性GHB濃度と死後経過時間には正の相関が認められた(血液:r=0.354、尿:r=0.613および脳:r=0.506)。 頚椎脱臼により安楽死させ室温に放置した雄性ddYマウスの死体について、死亡直後から死後24時間において脳、肝臓および腎臓の内因性GHB濃度を測定したところ、いずれの組織においても死後経過時間とともに内因性GHB濃度の上昇が認められた。死後24時間におけるGHB濃度は、腎臓(33.1±3.79μg/g、n=5)で最も高く、次いで肝臓(9.39±1.23μg/g、n=5)および脳(5.25±0.66μg/g、n=5)の順であった。脳ではGHB濃度の直線的増加(r=0.99)が認められ、脳の内因性GHB濃度は死後経過時間の推定に有用と思われた。
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