2008 Fiscal Year Annual Research Report
体組織中の内因性γ‐ヒドロキシ酪酸濃度の臨床法中毒学的解析に関する研究
Project/Area Number |
19590675
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
守屋 文夫 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療福祉学部, 教授 (40182274)
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Keywords | 法中毒学 / 内因性GHB / 尿中排泄 / pH / クレアチニン / 死後産生機序 / コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素 / ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
生前にGHBを摂取した事実がなく、かつ腐敗が軽微な法医解剖例では、炭化死体(n=17)の方が非炭化死体(n=15)よりも有意に低い血中内因性GHB濃度を示した(4.53±2.76μg/ml vs. 11.7±7.44μg/ml, p<0.005)。また、肝臓中内因性GHB濃度も、有意差は認められなかったものの、炭化死体の方が非炭化死体に比して低値となる傾向が認められた(7.20±8.46μg/g vs. 10.4±7.45μg/g)。同一症例において、肝臓の深層とともに表層の内因性GHB濃度を測定したところ、非炭化死体(n=5)では両試料の内因性GHB濃度に相違は見られなかった(7.82±3.23μg/g vs. 7.90±3.31μg/g)。一方、炭化死体(n=7)では有意差は認められなかったものの、表層の内因性GHB濃度が深層に比べて低値を示す傾向が認められた(2.41±1.99μg/g vs. 3.88±3.48μg/g)。 ウサギの肝臓ホモジェネートに諸種酵素阻害剤を添加したインキュベーション実験を行った結果、インキュベーション2時間後におけるGHB産生量の阻害率は、GABAトランスアミナーゼ阻害作用を有するバルプロ酸を添加した試料で10.4%、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素阻害作用を有するN-ホルミルグリシンを添加した試料で74.0%、アルコール脱水素酵素阻害作用を有するピラゾールを添加した試料で17.7%およびアルデヒド脱水素酵素阻害作用を有するN,N-ジエチルジチオカルバミン酸を添加した試料で12.8%であった。また、N-ホルミルグリシンとピラゾールを同時に添加した試料の阻害率は91.1%に達した。
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