2008 Fiscal Year Annual Research Report
損傷皮膚の治癒過程で早期に発現する遺伝子及び蛋白質の発現動態と法医実務への応用
Project/Area Number |
19590676
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
津田 亮一 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (20098875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中園 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30108287)
池松 和哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
|
Keywords | 社会医学 / 皮膚損傷 / 受傷時期 / 組織・細胞 / 免疫組織化学 / Real-Time PCR / CD14 / Placenta growth factor |
Research Abstract |
損傷の受傷時期の推定は、重要な検査事項の1つであり、本研究は1週間以内の受傷後初期に発現する新規受傷時期推定マーカーの開発を企図したものである。 平成19年度研究においては、損傷したマウス皮膚片からtotal RNAを抽出し、逆転写反応後、Real-Time PCR法によって各遺伝子発現量の相対定量を行い、c-fos、fosB、MKP-1、CD14、CCL9、MCP-5、Gas5、B2M、MUP-1などのmRNA発現量を検討し、その結果を報告した。 今回は、更に損傷治癒過程時に発現が報告されているPlacenta growth factor(PLGF)のmRNA発現量を前回同様にReal-Time PCR法にて損傷治癒時の経時的変化を検討した。他方、法医実務への応用への試みの1つとして、受傷後12〜24時間でmRNAの発現がピークに達したCD14について、その最終発現産物である蛋白質の経時的発現動態を損傷皮膚について抗CDI4抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。 その結果、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ファミリーに属するPLGFのmRNAの発現は、2日及び4日後に発現のピークが確認され、前回報告した受傷後5日後にピークが観察されたMCP-5と類似した発現ピークであった。 他方、CD14抗原(糖蛋白質)の発現した陽性細胞(単球あるいはマクロファージ)は、受傷後約12時間より観察され約3〜5日目にピークとなり、その後減少した。CD14陽性細胞の出現ピークとmRNAの発現ピークの時期(12〜24時間)との間に明らかな違いが認められたが、CD14陽性細胞の観察も、法医実務における受傷時期推定マーカーの1つとして有用ではないかと考えられる。
|
Research Products
(1 results)