2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン系農薬の体内動態解析-CE-MSによる代謝物分析法の開発と応用-
Project/Area Number |
19590678
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
福家 千昭 University of the Ryukyus, 医学部, 准教授 (60173374)
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Keywords | キャピラリー電気泳動質量分析法 / 有機リン系農薬 / 代謝物 / 生体試料 / 中毒 |
Research Abstract |
実例への応用:平成19年度に開発に成功したキャピラリー電気泳動法質量分析法を12例のフェニトロチオン中毒患者の血清中および尿中のジアルキルリン酸の定量分析に応用した.分析を行ったフェニトロチオン中毒患者の入院までの推定服用後経過時間は1〜8時間で,血清中フェニトロチオン濃度は0.4〜14.9μg/mlであった.すべての入院時血清および尿からジメチルリン酸(DMP)と0,0-ジメチルチオリン酸(DMTP)が検出された.その濃度は,血清でDMP0.3〜1.2μg/ml, DHTP0.1〜0.5μg/ml,尿でDMP2.0〜41.0μg/ml,DMTP0.9〜29.0μg/mlであった。血清中のDMP濃度はDMTP濃度に比べて常に高値を示した.また,尿中DMPおよびDMTPは,血清中のそれらよりもいずれも高濃度であった.さらに,1例を除くすべての症例でDMTPの構造異性体であるO,S-DMTPが検出された.フェニトロチオン中毒例からO,S-DMTPを検出したのは世界で始めてであり、れらの分析結果は有機リン系農薬中毒の中毒様態の解明に大いに役立つものと考える. 2.他のジアルキルリン酸化合物の分析法の検討サリンやVXの分解物であるイソプロピルメチルホスホン酸,エチルメチルホスホン酸,メチルホスホン酸の分析条件の検討をおこなった.いずれの化合物も分子量+1と分子量+23(ナトリウム付加イオン)を有するマススペクトルが得られた。前述の分析条件で分析したところ,ジエチルリン酸よりも長い移動時間でエチルメチルホスホン酸,イソプロピルメチルホスホン酸,メチルホスホン酸の順で検出された.また、尿に添加したエチルメチルホスホン酸,イソプロピルメチルホスホン酸を同様の処理で検出することが可能であった.本結果はサリンやVXによる中毒の証明を短時間に行うことができることを立証したといえる.
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