2008 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒による脳内活性酸素生成機序に関する研究
Project/Area Number |
19590681
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 Tokyo Medical University, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / ヒドロキシルラジカル / 細胞外アスコルビン酸 / デヒドロアスコルビン酸 / 遊離鉄 / 線条体 / ラット |
Research Abstract |
昨年度の研究の結果、一酸化炭素中毒における脳内ヒドロキシルラジカル生成促進には、細胞外アスコルビン酸および遊離鉄が関与することが示唆された。本年度は、脳内アスコルビン酸を増加させることが報告されているデヒドロアスコルビン酸をSprague-Dawley系雄性ラットに腹腔内投与し、脳において細胞外アスコルビン酸がヒドロキシルラジカル生成に関与するか否かについて検討し、次のような結果を得た。(1)デヒドロアスコルビン酸腹腔内投与は、ラット線条体の細胞外アスコルビン酸を用量依存的に増加させた。(2)デヒドロアスコルビン酸腹腔内投与は、ヒドロキシルラジカル生成をも用量依存的に増加させ、この増加は細胞外AAとパラレルであった。(3)デヒドロアスコルビン酸腹腔内投与によるヒドロキシルラジカル生成は、アスコルビン酸を分解するアスコルビン酸酸化酵素を線条体に直接投与することにより完全に消失した。この場合、不活性化したアスコルビン酸酸化酵素の投与には、そのような効果はまったく認められなかった。(4)デヒドロアスコルビン酸腹腔内投与によるヒドロキシルラジカル生成は、鉄のキレート剤であるデフェロキサミンを投与することにより強く抑制された。(5)アスコルビン酸自体を線条体に直接投与した場合にも、ヒドロキシルラジカル生成は用量依存的に増加した。このような結果から、脳内で抗酸化剤としての役割を担っているアスコルビン酸は、その細胞外濃度が上昇した場合にはプロオキシダントとして鉄のような金属と反応してヒドロキシルラジカルを生成することが示唆された。これは、昨年度の研究結果を支持するものと考えられる。
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