Research Abstract |
本年度は,ヒト血清試料の直接注入を可能とするバックフラッシュ/カラムスイッチングシステムの構築と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)/質量分析法(MS)の諸条件の再検討を行った。本システムでは,トラップカラムとしてWaters社製Oasis HLBカートリッジカラムを使用し,分離分析用カラムとしてMerck社製 Chromolith Performance RP-18eを採用した。また,本システムにおいては,水で希釈した血清サンプルの大量注入を行った。本手法の評価を,ヒトブランク血清にカフェイン,テオフィリン標品を添加したサンプルを用いて行った。その結果,目的成分であるカフェイン,テオフィリンはほとんど漏出することなくOasis HLBカートリッジカラムに保持され,一方タンパク質を含む生体高分子成分は0.7分以内に溶出することを確認した。また,移動相として0.1%ギ酸含有のアセトニトリル/水系を用いたアイソクラティック法により,カフェイン,テオフィリン及び内部標準物質を2分以内に溶出させ,さらに相互分離させることが可能となった。さらに,Chromolith Performance RP-18eカラムの使用により,流速を最大4.0mL/minに設定することが可能となり,分析終了後のカラムの洗浄と平衡化を大幅に時間短縮させることができた。MS装置のインターフェイスはSSIを使用し,SSI/MSによるカフェイン,テオフィリンのマススペクトルにおいては,プロトン化分子イオンがベースピークであった。検出限界は血清において,0.5-1.0mg/Lであり,定量性においても,Within-day,Day-to-day等の調査を詳細に行った結果,本システムは法中毒学分野においても応用可能であることが明らかになった。
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