2007 Fiscal Year Annual Research Report
直接導入型質量分析による中毒原因物質の迅速スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
19590687
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
井上 博之 National Research Institute of Police Science, 法科学第三部, 室長 (40159992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 佑子 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20356190)
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Keywords | 乱用薬物 / スクリーニング / 質量分析計 / 尿 / 覚せい剤 / MDMA / 医薬品 / 法中毒学 |
Research Abstract |
毒物混入事件、法医解剖および救急医療の現場において、中毒原因物質を特定するための検査の前段階として、スクリーニングのもつ意義はきわめて大きい。本研究では、乱用薬物や医薬品類をターゲットとして、尿試料や遺留試料(粉末、錠剤など)から簡便、迅速、かつ特異性の高いスクリーニング法の開発を目的とする。 GCやHPLCなどの分離機器を接続しない、直接導入型質量分析計(日立製DS-1000N)を測定装置として用い、以下に示す実験を行った。まず、覚せい剤(メタンフェタミン、アンフェタミン)、MDMA類(4種)、コカイン及び医薬品成分(カフェイン、アセトアミンラェン、ジラェンヒドラミン)のメタノール溶液をそれぞれガラス製ろ紙に滴下し、質量分析計に導入、加熱器温度、針電極電圧、フォーカス電圧などを最適化した。MS/MSモードの際の衝突解離電圧については、薬物毎に最適化した。上記薬物のプロートン化分子をプリカーサイオンとするプロダクトスキャンから得られたスペクトルは各薬物に特徴的であり、構造異性体間(MDEA、MBDB)でも両者の識別が可能であった。メタノール溶液を分析した際め各薬物の検出限界は、30-200ng程度であった。健常成人添加尿では、マトリックス効果によるイオン抑制が認められ、メタンフェタミンの場合イオン強度は約20-70%減少した。 一方、事件・事故現場の遺留試料(錠剤や粉末)をスクリーニングするため、不正流通するED治療薬の分析や押収覚せい剤中に混入するジメチルスルホンの定量分析を行い、化合物の純度と夾雑物によるイオン強度の変化等を検討するための基礎データを得た。 今後、各種夾雑物によるマトリックス効果を抑制させるための簡易前処理の導入を含めて検討し、事件・事故現場で利用可能なスクリーニング法を構築ずる予定である。
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Research Products
(2 results)