2007 Fiscal Year Annual Research Report
中高年男性における男性ホルモン低下と動脈硬化との関係解明
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19590699
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
角野 博之 Takasaki University of Health and Welfare, 看護学部, 准教授 (10375579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒巻 哲夫 群馬大学, 医学部, 教授 (20124654)
市川 秀一 群馬大学, 医学部, 講師 (50396660)
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Keywords | 生理学 / 内科 / 臨床 / 老化 / ホルモン |
Research Abstract |
今年度は同意の得られた健常及び生活習慣病や冠動脈疾患などの動脈硬化性疾患を有する中年〜高齢男性134例を募集し検査を行った。対象者に対して、内因性の血中男性ホルモンである遊離テストステロンとdehydroepiandrosterone-sulfate(DHEA-S)の血中濃度及び血管の動脈硬化の指標である上腕-足首間の脈波伝播速度(pulse wave velocity:PWV)、頸動脈内膜中膜壁厚(intima-media thickness:IMT)、冠動脈造影による冠動脈の有意狭窄病変の数を測定し、血中男性ホルモンと動脈硬化の程度との相関関係を単回帰及び重回帰分析を用いて解析した。その結果、単回帰分析では中年〜高齢男性の血中DHEA-SはPWV(n=134、r=-0.19、p<0.05)、頸動脈IMT(n=62、r=-0.32、p<0.05)、冠動脈の有意狭窄病変の数(n=134、r=-0.37、p<0.01)とそれぞれ有意な負の相関関係を示した。しかし、重回帰分析により年齢で補正すると、血中DHEA-Sは冠動脈の有意狭窄病変の数とは有意な負の相関関係(p<0.01)を認めたが、PWV、頸動脈IMTとは負の相関関係を示す傾向にあったが有意ではなかった。また、単回帰で分析した中年〜高齢男性の血中遊離テストステロンは頸動脈IMTとは有意な負の相関関係(n=62、r=-0.31、p<0.05)を呈したが、PWV、冠動脈の有意狭窄病変の数とそれぞれ負の相関関係を示す傾向にあったが有意ではなかった。重回帰分析では、血中遊離テストステロンは頸動脈IMT、PWV、冠動脈の有意狭窄病変の数のいずれとも有意な相関関係を示さなかった。このように、中年〜高齢男性の内因性血中男性ホルモン濃度が低下している程、一部の血管の動脈硬化の程度が進行していることが示唆された。今後、更に症例を増やすことにより中年〜高齢男性の内因性の血中男性ホルモン低下と動脈硬化の程度が明らかになるものと推測される。
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