2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム(代謝症候群)に対して有効な伝統生薬の探索研究
Project/Area Number |
19590703
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
油田 正樹 Musashino University, 薬学研究所, 教授 (60409381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 努 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (90409384)
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Keywords | 伝統薬物 / 植物療法学 / 代謝症候群 / 生活習慣 / 肥満 |
Research Abstract |
スリランカ原産のコタラヒム(Salacia reticulata)は,糖尿病の初期段階において有用であることが知られており,また,著者はコタラヒムエキス末を種々の代謝性疾患を伴う肥満動物TSODマウスに処置した結果,非常に強い抗肥満効果や代謝性疾患に対する予防効果を報告した。しかし,その作用は非常に顕著であり正常マウスにおいても体重減少作用がみられたことから,さらに少量での効果の再検討が必要であると考え,本年度は,コタラヒムの濃度を0.3および1%に下げ,抗肥満効果ならびに代謝性疾患に対する予防効果を検討した。その結果,コタラヒムはTSODマウスでは用量依存的に非常に強い抗肥満効果,内臓脂肪蓄積抑制効果を示したが,平行して行なった正常マウスTSNOマウスには作用を及ぼさないことが示された。また,TSODマウスではインスリン抵抗性,脂質代謝異常など種々の代謝性疾患に対して改善効果を示し,さらに,インスリン抵抗性に関与する肝臓組織中の中性脂肪値も有意に抑制した。また,その作用機序の解明実験において,コタラヒムに糖質の吸収に関わるα-グルコシダーゼに対して強い阻害効果があることを確認した。αグルコシダーゼ阻害剤であるアカルボースは,アミラーゼ阻害効果により腹部膨満,鼓腸,放屁増加などの副作用があるが,コタラヒムにはアミラーゼ阻害降下は弱く副作用の少ない生薬としても有用であることが示唆された。さらに,今後の活性本体探索のためにコタラヒムの成分解析をHPLCを用いて検討している。
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