2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームが惹起する心血管疾患の予防・治療を目指した漢方方剤の創製
Project/Area Number |
19590704
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 誠 Aichi Gakuin University, 薬学部, 教授 (50191888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 高政 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (80345777)
田邉 宏樹 愛知学院大学, 薬学部, 助教 (10415606)
水上 元 名古屋市立大学, 薬学研究科, 教授 (30128219)
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Keywords | 漢方方剤 / 生活習慣病 / 動脈硬化症 / 核内受容体 / レチノイン酸受容体 / レチノイドX受容体 / アトラクチロジノール / ホーノキオール |
Research Abstract |
本研究の目的は、メタボリックシンドロームが促進する心血管疾患の予防・治療を目指し、1)抗動脈硬化活性を示す化合物を含有する生薬を探索し、2)それら生薬を理論的に組み合わせ、血管疾患に有効な新規漢方方剤を創製することである。そこで今回、有用生薬の探索を、核内レセプターとして動脈硬化の抑制作用が示唆されているRetinoic acid receptor(RAR)とRetinoid X receptor(RXR)のリガンドに焦点を絞って行った。その結果は、95種類の生薬を酵母Two-Hybrid法でスクリーニングしたところ、RARリガンド活性を蒼朮、艾葉、紅花、細辛、陳皮などの生薬抽出物に、RXRリガンド活性を厚朴抽出物に見出した。活性成分の単離同定を試みたところ、蒼朮に含有されるアトラクチロジノール(ATR)が10^<-6>MからRARへの結合活性を示し、マクロファージに対してRARの標的遺伝子であるATP-binding cassette transporter A1(ABCA1)やapoEなどのmRNA発現を上昇させることを見出した。一方、厚朴に含有されるホーノキオール(HK)が10^<-5>MからRXRへの結合活性を示し、さらに、マクロファージABCA1mRNAの発現を上昇させた。また、HKはLXRあるいはRARアゴニストの共存下ではABCA1mRNAの著しい発現上昇を誘導し、LXR/RXRおよびRAR/RXRヘテロダイマーの転写活性化能を亢進することを見出した。これまでにRARの天然由来のリガンドとしてはall-transレチノイン酸、RXRの天然由来のリガンドとしては9-cisレチノイン酸しか知られておらず、今回の我々の発見は、第2番目の天然由来RARおよびRXRアゴニストを見出したこと、さらに、それらが抗動脈硬化活性を示すことを明らかにしたことである。今後、当初の計画に従い、抗動脈硬化活性のエビデンスに基づいて、いくつかの生薬を組み合わせ、心血管疾患に有効な新たな漢方方剤の創製を目指したい。
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