Research Abstract |
職業性ストレスとライフスタイル,DNA損傷との関連に関して,自治体職員361人を対象とした調査を行ない,1)喫煙習慣のある職員の方が尿中8、OhdG値が高い,2)尿中8、OHdGと動脈硬化危険因子(年齢,性別,喫煙,BMI,血圧,脂質値,空腹時血糖など)との関連では,喫煙者と境界型並びに糖尿病型血糖値を示す者においてのみ有意に高値を示したことなどが明らかになった。 断眠による疲労と酸化ストレス指標の変化に関する実験では,疲労感や活力の低下は断眠後2,3日間続くこと,尿中8、OHdGは断眠中や翌目の上昇は観察されず,2日目に高値を示すものがみられ,平均値はピークになったが全体としては有意差は見られなかった。血中コルチゾールは断眠後の午前7時には前日より有意に低下したものの概日リズムは保たれていた。SOD活性には変化は認められなかった。断眠中や断眠後の認知機能やワーキングメモリーに関する検査では,単純な課題では低下しないが,複雑な課題では低下することが明らかになった。 アルコール摂取による心理的指標の変化と8、OHdGの生成,排泄に関する実験では,アルコール摂取前に不安緊張感の上昇が認められたが,摂取後の心理指標の変化には個人差が大きく,一定の傾向は見られなかった。アルコール摂取による血中コルチゾール,SOD活性,尿中8-OHdGの有意な変化は見られなかった。 ストレスリダクション法としての自律訓練法(AT)の短期効果に関する実験では,AT後に不安感の減少,活力の上昇が見られ,皮膚温の上昇が観察された。血中NOx(一酸化窒素)の上昇が観察され,AT中の末梢血管の拡張(皮膚温上昇)にNOxが関与している可能性が示唆された。AT前後で尿中8-OHdG,TBARS等の酸化ストレス指標の変動は認められなかった。
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