2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子BCL-6の低酸素適応における役割の解明と食道癌治療への応用
Project/Area Number |
19590707
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 勇一 Hokkaido University, 病院, 講師 (90333608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正伸 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (80241321)
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Keywords | 膵癌 / 低酸素 / 低グルコース / 抗癌剤感受性 / 増殖 |
Research Abstract |
1. 低酸素・低グルコース誘導遺伝子の探索 DNAマイクロアレイ法を用いた網羅的解析とRT-PCR法により, 低酸素・低グルコース条件で発現亢進が認められる遺伝子について解析を行った, その結果BCL6が低酸素・低グルコース条件下で発現亢進することが確認された.その後の検討でBCL6は膵癌以外にも食道癌細胞株T.Tでも同様に低酸素・低グルコースによる発現の亢進が認められた. 2. BCL-6 silencingによる癌細胞の増殖と癌細胞の抗癌剤感受性の変化 BCL-6siRNAによってBCL-6の発現を抑制すると、正常酸素分圧下でも、低酸素分圧下でも癌細胞の増殖が抑制された。また、Gemcitabineに対する感受性を検討した。BCL-6siRNAにてBCL-6発現を抑制すると、Gemcitabineに対する感受性が亢進した。これらの結果は、低酸素・低グルコース環境下で固形癌細胞に発現誘導されるBCL-6蛋白が、固形癌細胞の増殖を促進し、抗癌剤に対する耐性を誘導している可能性を示唆するものである。 このペプチドによってBCL6による転写抑制が解除されることが報告された。さらに、このペプチド処理によってびまん性大細胞性リンパ腫細胞株の細胞周期停止とアポトーシスが誘導されることが報告された。これらの報告と合わせて考えると、今後の検討が必要であるが、膵癌細胞に対してBCL6抑制ペプチドが増殖抑制効果を示し、抗癌剤感受性を高める働きを持つ可能性を示唆している。
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