2008 Fiscal Year Annual Research Report
食道・胃接合部の内腔で発生する一酸化窒素による周囲組織細胞間結合装置の障害
Project/Area Number |
19590710
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯島 克則 Tohoku University, 病院, 助教 (60375003)
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Keywords | 消化器学 |
Research Abstract |
前年までのラットの胃を用いたex vivoの実験結果から食道・胃接合部内腔で発生した一酸化窒素(NO)は周囲組織に拡散し、粘膜上皮の細胞間結合装置を障害することが示された。さらに、in vivoでの効果を確認するために、ラットの胃内に生理的濃度の亜硝酸塩を投与し、胃酸とアスコルビン酸の存在で化学的に胃内にNOを発生させるモデルを作成し、このモデルにおいても、NO暴露によって周囲組織細胞間結合装置の障害されることが明らかなった。 通常、食道・胃接合部内腔で発生するNOは、胃酸が食道内に逆流する状態(胃・食道逆流症)では、その発生部位が下部食道に移動する。よって、NO暴露による食道扁平上皮に対する影響も検討する必要がある。そこで逆流性食道炎の食道障害に対する外因性NO持続暴露による影響をラット逆流性食道炎モデルを用いて検討した。 確立されたラット逆流性食道塩モデルに対して、0.1%の亜硝酸ナトリウム、1%アスコルビン酸の同時投与を行う。このモデルでは胃酸逆流の有る状態で、同時投与した亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸が下部食道内腔の酸性条件下で速やかに反応し高濃度のNOを生じることになる。両剤の同時投与によって食道障害は非投与時と比較し4、5倍に増加した。この食道の障害はスーパーオキサイド消去剤の投与により抑制され、外因性NO暴露による食道障害の増悪にはスーパーオキサイドが関与していることが示唆された。よって、食道内腔で発生したNOはスーパーオキサイドが豊富に存在する食道の炎症組織に拡散することにより、細胞毒性の強いパーオキシナイトライトを生成し、食道障害を増悪させる可能性が考えられた。
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