2007 Fiscal Year Annual Research Report
炎症腸疾患における腸炎惹起性免疫記憶T細胞の老化促進を応用した規治療法の開発
Project/Area Number |
19590718
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
戸塚 輝治 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 助教 (70447465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
金井 隆典 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40245478)
荒木 昭博 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80361690)
|
Keywords | 加齢化免疫記憶T細胞 / 抑制性T細胞 / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎およびクローン病は、若年者を襲い様々な副作用に直面し、治療の継続を余儀なくされる難病である。本邦での罹患数は潰瘍性大腸炎7万人、クローン病3万人と増加の一途をたどり、ひとたび罹患すると生涯に渡り疾患を背負うため、社会的にも極めて重要な疾患である。両疾患とも、免疫学的因子、環境因子、遺伝因子など様々な病態が考えられているが、その複雑性、多様性から治療に難渋することが多い。臨床においては亢進した免疫を非特異的にステロイド剤や免疫抑制剤などによってコントロールするのが実情でなおも緩解と増悪を繰り返す。多くの症例が自己免疫類似疾患と捉えられて、ステロイドや免疫抑制剤など非特異的免疫制御による治療が施されるが、その副作用の問題や、さらに治療抵抗例も多く、現在の治療法では限界があることは明らかであり、画期的な新規治療法開発は国民的要請であり急務である。そこで、本研究では炎症性腸疾患腸炎惹起性メモリーT細胞の老化促進を応用した新規治療法の開発について追求した。我々はCD4^+CD45RBhigh移入大腸炎マウスより得られる腸炎惹起生免疫記憶CD4+T細胞を新しい免疫不全マウスへの移入を繰り返すことにより、in vivoでの加齢化免疫記憶CD4+T細胞の作製を確立し、この加齢化免疫記憶CD4+T細胞は加齢により腸炎発症率・活動度が低下することを明らかにした。また、この加齢化免疫記憶CD4^+T細胞のなかで腸炎未発症加齢化免疫記憶CD4+T細胞は、正常マウス胸腺由来CD4+CD25^+制御性T細胞と同等のCD4^+T細胞増殖抑制能を認め、腸炎惹起性メモリーT細胞は加齢により制御性T細胞に変化することが示された。このことより、炎症性腸疾患腸炎惹起性メモリーT細胞の老化促進を応用した新規治療法の開発が示唆された。
|