2008 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体および受容体型チロシンキナーゼを標的分子とした癌化学予防に関する研究
Project/Area Number |
19590720
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森脇 久隆 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50174470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 雅仁 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90402198)
山田 泰広 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70313872)
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Keywords | 核内受容体 / 受容体型チロシンキナーゼ / 大腸癌 / 肝臓癌 / レチノイド |
Research Abstract |
本研究は、ヒト消化器発癌における核内受容体の修飾異常と、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の発現・機能異常の関連について検討し、それらの異常を標的とした発癌予防法(薬)の開発を目指すことを目的としている。我々は現在までの研究で、レチノイド核内受容体RXRは、リン酸化修飾を受けることで二量体形成能と転写活性能を低下させ、腫瘍細胞にアポトーシス抵抗性と増殖亢進を惹起すること、またRTKとその下流分子であるRas/MAPKの活性が、RXRのリン酸化を引き起こすことを明らかにした。また、RXRのリン酸化修飾を阻害するとともにレチノイドを併用投与することで、リン酸化RXRを高発現しているヒト大腸癌細胞、膵癌細胞、レチノイド耐性白血病細胞に増殖抑制とアポトーシスの誘導が起こることを報告した。更には、代表的なRTKであるEGFRとHER2、およびリン酸化RXRを強発現する肝癌細胞株HLFを、RXRのリガンドである9cisレチノイン酸または非環式レチノイドと、抗HER2モノクロナール抗体であるTrastuzumabで併用処理することによって、相乗的なアポトーシスの誘導と、腫瘍細胞の増殖抑制効果が発揮されることを明らかにしたが、これらの相乗効果のメカニズムとして、レチノイドとTrastuzumabによる、協調的なRXRaのリン酸化抑制が存在することが確認された。これらの研究結果は、RTKやその下流シグナル(Ras/MAPK)を阻害し、RXRのリン酸化修飾に伴う機能異常を修復することが、様々な発癌予防に結びつく可能性を示唆するものであり、今後、発癌予防研究を進めていく上で重要かつ有意義な研究結果と考えられた。
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Research Products
(9 results)