2009 Fiscal Year Annual Research Report
Stem cell biologyに立脚したバレット腺癌の成因の解明
Project/Area Number |
19590723
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木下 芳一 Shimane University, 医学部, 教授 (30243306)
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Keywords | パレット食道 / 胃食道逆流症 / 幹細胞 / 分化 / 腸上皮化生 |
Research Abstract |
平成20年度には食道のfibroblastがパルス状に胃の酸にさらされた時にHB-EGFを分泌して、このHB-EGFが食道の扁平上皮のstem ce11 like細胞にCDX2を発現させ円柱上皮への分化のきっかけを作ることを明らかとした。平成21年度はこれを発展させHB-EGFが未分化な食道扁平上皮細胞にCDX2とともにCK7、villin等の腸型円柱上皮に特有の分子の発現をおこさせること、さらにHB-EGFはEGFRからNF-κB、AP-1を介してこのような変化をおこさせていることを明らかとした。さらにヒトのパレット食道を発症する高リスク病変である逆流性食道炎においては、その粘膜上皮下の線維芽細胞がHB-EGFを発現していることも明らかとした。これらの成績は、Laboratory Investigationに採用され、現在in pressの状態となっている。 一方、骨髄細胞がHB-EGFの作用でCDX2、CK7、villinを発現するようになるか否かについても検討を行ったが、HB-EGFによってこれらの発現が誘導されるとする成績を得ることはできなかった。 これらの成績からパレット食道は、上皮下の層に存在するfibroblastの影響をうけて未分化な扁平上皮細胞の分化異常がおこることで発症する可能性が高いと考えられる。
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