2007 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍間質を標的とした胃癌に対する新しい治療法の開発
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19590726
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北台 靖彦 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10304437)
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Keywords | 胃癌 / 腫瘍間質 / 分子標的治療 / PDGF / リンパ節転移 |
Research Abstract |
本年度はヒト胃癌組織におけるPDGF/レセプター系の発現について検討した。胃癌細胞株6株(TMK-1,MKN-1,MKN-28,MKN-74,MKN-45, KKLS)とヒト胃癌組織38例においてPDGFR-βとPDGF-Bの発現をそれぞれreal time PCRで測定し、リンパ節転移や病理組織型との関連を検討した。また、ヒト胃癌組織を用いて免疫染色を行い、PDGFR-βとPDGF-B蛋白の局在を調べた。 PDGFR-βは胃癌細胞株6株中2株(KKLS,MKN-1)でわずかにmRNAを発現しているのみであったが、PDGF-BはKKLSをのぞく5株でmRNAの強い発現を認めた。ヒト胃癌組織では、PDGFR-βは間質に、PDGF-Bは癌細胞に免疫活性を認めた。リンパ管内皮のマーカーであるLyvelとPDGFR-βの蛍光二重免疫染色により、リンパ管内皮細胞でのPDGFR-βの発現が確認された。リンパ節転移とヒト胃癌組織におけるPDGFR-βとPDGF-BのmRNA発現レベルの関連を調べたところ、リンパ節転移のない群に比し、リンパ節転移のある群でPDGFR-β、PDGF-Bともに有意にmRNAの発現が高かった。胃癌では未分化型の癌でリンパ節転移のリスクが高いため、組織型とPDGFR-βやPDGF-BのmRNA発現レベルについても検討したところ、分化型腺癌と比べて未分化型癌でPDGFR-β、PDGF-Bともに有意にmRNAの発現が高かった。 ヒト胃癌において、PDGFR-βは筋線維芽細胞、ペリサイトのみならず、リンパ管内皮細胞に発現しており、腫瘍細胞から分泌されるPDGFがリンパ管内皮細胞上のPDGFR-βを介して、リンパ管新生やリンパ節転移を促進している可能性が示された。 最終年度となる来年度はPDGFRリン酸化阻害剤による分子標的治療実験を予定している。
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