2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍間質を標的とした胃癌に対する新しい治療法の開発
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19590726
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北台 靖彦 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10304437)
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Keywords | 胃癌 / 腫瘍間質 / 分子標的治療 / PDGFR / VEGF-C / D / リンパ節転移 |
Research Abstract |
昨年度はヒト胃癌組織および胃癌細胞株におけるPDGF/receptor系とVEGF-C, D/receptor系の発現を検討した。腫瘍間質において、PDGFR-βは筋線維芽細胞、ペリサイトのみならず、リンパ管内皮細胞に発現しており、腫瘍細胞から分泌されるPDGFがリンパ管内皮細胞上のPDGFR-βを介して、リンパ管新生やリンパ節転移を促進している可能性が示された。 最終年度となる本年度はPDGFRリン酸化阻害剤による分子標的治療実験を行った。 胃癌細胞株TMK-1細胞をヌードマウスの盲腸に移植し、同所性腫瘍を作成したのちにPDGFRチロシンリン酸化阻害剤(イマチニブ)で治療実験を行った。イマチニブ単独治療では効果はみられなかったが、抗癌剤であるCPT-11との併用により、強い抗腫瘍効果が得られた。イマチニブ投与により、腫瘍間質の形態的、機能的変化が観察された。以上のことから間質反応を抑制することにより、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させうる可能性が示された。 また、VEGFRファミリーは血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞など腫瘍間質に発現していることはよく知られているが、今回の検討にて、我々はVEGFR-3が間質系の細胞のみならず、胃癌細胞にも発現していることを見出した。VEGF-CやVEGF-Dは胃癌細胞に対しオートクライン的に働き、胃癌の増殖、浸潤、転移に関与していることを証明した。
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