2007 Fiscal Year Annual Research Report
PPARγ大腸上皮特異的KOマウスを用いた炎症性腸炎と腸炎後腫瘍発生機序の解明
Project/Area Number |
19590727
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
足立 雅広 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 研究員 (00419516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / PPARγ |
Research Abstract |
PPARγは、脂肪組織に次いで大腸において高度に発現しているが、その作用は未だに不明である。また、炎症性腸疾患の動物モデルにおいて、PPARγのアゴニストの投与が有効である。大腸上皮細胞特異的にPPARγの発現を欠失させたPPARγΔIEpCマウスは、コントロールのPPARγF/Fマウスと比較して、杯細胞内のムチンの貯留が増加しており、さらに大腸組織内に自発的炎症巣を多数認めた。PPARγの大腸の恒常性維持への関与を分子レベルで解明するため、ΔIEpCマウスとコントロールのPPARγF/Fマウスの大腸上皮細胞を単離し、mRNAを抽出後、cDNAを合成し、DNAマイクロアレイ法にて、約40000個の遺伝子発現の違いについて検討した。遺伝子発現の差を認めた遺伝子のなかで、大腸の恒常性維持や発癌に関与していると考えられる遺伝子を選出し、RT-PCR法を用いて、DNAマイクロアレイ法による結果を再検した。その結果ΔIEpCマウスは、FABPなどの代謝関連遺伝子の発現が低下していた。さらに、cytochrome P-450など薬物代謝に関する遺伝子発現の増減を認め、azoxymethaneなどの薬剤誘導性発癌に関して、PPARγの欠失が発癌に誘導性に働くメカニズムの一つである可能性が考えられた。そのほか、ΔIEpCマウスにおいて、細胞接着因子関連遺伝子、電解質の輸送に関連する遺伝子、シグナル伝達関連遺伝子、細胞の分化・成熟に関連する遺伝子の発現が増減していることが明らかとなった。これらの遺伝子発現の変化が、ΔIEpCマウスの恒常性維持機構の破綻を招き、自発性炎症を惹起しやすい状態を招いていると考えられた。また、PPARγのアゴニストの作用の一部として、PPARβを介する機構が存在するが、PPARβノックアウトマウスは、DSS誘導性腸炎モデルにおいて、炎症の重症化を示した。
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Research Products
(4 results)