2008 Fiscal Year Annual Research Report
PPARγ大腸上皮特異的KOマウスを用いた炎症性腸炎と腸炎後腫瘍発生機序の解明
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19590727
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
足立 雅広 Kyushu University, 大学病院, 医員 (00419516)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / PPARγ / 大腸がん |
Research Abstract |
炎症性腸疾患の動物モデルにおいて、PPAR_γのアゴニストの投与が有効であり、潰瘍性大腸炎の治療薬である5-aminosalicylic acidの作用の一部は、大腸上皮に発現するPPAR_γを介していることが報告されている。大腸上皮細胞特異的にPPAR_γの発現を欠失させたPPAR_γ△IEpCマウスは、コントロールのPPARγF/Fマウスと比較して、大腸組織内に自発的炎症を誘導しやすいことを報告した。そのメカニズムを解明するため、昨年施行したPPAR_γ△IEpCマウスとコントロールのPPAR_γF/Fマウスの大腸上皮細胞を用いた、DNAマイクロアレイ法による、約40000個の遺伝子発現の相違に対する検討を続行した。その結果PPAR_γ△IEpCマウスの大腸上皮では、Mucin-1の発現が違いにっいて検討した。その結果DIEpCマウスは、PPAR_γF/Fマウスと比較して、Mucin-1の発現が有意に増加していた。マクロファージのlectin受容体がMucin-1受容体に結合し、活性化することが報告されており、大腸上皮のPPAR_γの欠失により、Mucin-1の発現が増加し、マクロファージの活性化を通して炎症の悪化を引き起こすことが示唆された。次に、両マウスにおける腸炎後の腫瘍形成について検討した。Azoxymethaneを投与後、DSS誘導性腸炎をおこし、腫瘍形成について検討した。腫瘍は主に肛側に集中しており、PPAR_γ△IEpCマウスはコントロールに比して有意に腫瘍発生の個数が増加していた。PPAR_γが腸炎後の腫瘍発生に抑制的に働いていると考えられた。
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