2008 Fiscal Year Annual Research Report
食道扁平上皮癌におけるMcl-1制御機構解明とその臨床的意義
Project/Area Number |
19590728
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
磯本 一 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90322304)
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Keywords | Mcl-1 / squamous cell carcinoma / esophagus / micro RNA / miR-205 / miR-29b |
Research Abstract |
microRNA (miR)が発癌や癌の悪性度に関与することが明らかになりつつあるが、食道扁平上皮癌(SCC)特異的な発現miRを同定し、Mcl-1発現制御との関与を明らかにすることを目的にした。研究1:ヒトSCC株であるOE21、TE10とヒト不死化正常SC由来細胞Het1Aから抽出したRNAを用い、miRNA arrayによりmiRNA発現の相違を網羅的に解析した。5種類のSCC株(OE21、TE5、TE8、TE10、TE11)、HetlA、3種類の食道腺癌細胞株(Bic1、Seg1、OE33)、胃腺癌株(AGs、AZ521)などからRNAを抽出し、有意に(2倍以上)発現変化を示したmiRNAをrealtime PCRにて定量した。Het1Aに比べ、OE21とTE10とで共通して有意に発現上昇していたmiRは、順に203、429、205、200c、141であり、発現低下していたmiRは、順に153、100、125b、10a、99a、376a、379、651、146b、29bであった。中でもSCC特異的に発現変化がみられたmiRは205であった。研究2:SCC特異的なmiRに対するPre-miR (precursor)、Anti-miR (Inhibitor)を細胞導入し、増殖能(cell count、MTT assay)、アポトーシス(TUNEL、DAPI staining)、浸潤能(マトリゲルでのmigration assay)、遊走能(wound healing assay)を検討した。Anti-miR-205、Pre-miR-205による機能解析では、増殖やアポトーシスに有意な影響は及ぼさなかったが、Pre-miR-205によりマトリゲル浸潤細胞数が有意に(p<0.01)減少した。Pre-miR-29b導入によりMc1-1発現が低下した。【結論】SCC特異的miRとして205が同定された。miR-205は食道扁平上皮癌の浸潤能に関与している可能性がある。さらに、miR-29bを介したMc1-1発現制御機構の解明を進めていく。
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