2007 Fiscal Year Annual Research Report
RUNX3の変化からみたヘリコバクター・ピロリ除菌前後の胃発癌リスク
Project/Area Number |
19590730
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
光藤 章二 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (20229751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 英幸 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (30295670)
若林 直樹 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20305577)
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Keywords | RUNX3 / Helicobacter pylori / 除菌療法 / 胃癌 |
Research Abstract |
今回の研究の目的は、H.pylori除菌前後の胃粘膜のRUNX3発現を検討することであった。 updated Sydney Systemで評価した胃粘膜の炎症は、H.pylori除菌後、既報のごとく著明に改善した。一方、RUNX3の発現は、免疫染色の評価では、除菌後短期間の観察で明らかな改善は認めなかったが、除菌後長期間では改善することが明らかになった。同様に、Methylation specific PCRでRUNX3の発現を評価すると、除菌後短期間の観察でも回復を示す症例があり、疾患別の差が推察された。そこで、疾患別にRUNX3の発現回復の程度を、除菌後短期の観察期間検討すると、胃癌既往群(早期胃癌内視鏡的治療術後)は潰瘍群に比べて回復し難く、また潰瘍群の中でも十二指腸潰瘍群で胃潰瘍群に比べ回復しやすかった。これらの結果から、RUNX3の回復を指標にすると、どのような症例がH.pylori除菌療法の恩恵を受けるか、また除菌療法の至適タイミングを明らかにすることが可能になるとともに、胃癌発癌リスクのバイオマーカーになることが予測され、さらなる症例の蓄積と長期の観察が必要と考えられ検討を継続中である。 さらに、除菌後の腸上皮化生の変化を検討したところ、今回の観察期間では、明らかな変化は認めなかったが、RUNX3の発現低下とCdx2の発現には相関が認められた。したがって、腸上皮化生のメカニズム解明のために、その他の腸上皮化生のマーカーを含めて検討する予定である。
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