2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病としての慢性萎縮性胃炎および胃がん発生におけるアディポネクチンの意義
Project/Area Number |
19590732
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
樋口 和秀 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (20218697)
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Keywords | アディポサイトカイン / アディポネクチン / 炎症 / Helicobacter pylori / 胃炎 / tumor necrosis factor / interleukin-8 |
Research Abstract |
脂肪組織から分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)のうちのひとつであるアディポネクチンは抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用の他に抗炎症作用や抗がん作用を有することが報告されている。本研究では、Helicobacter pylori (H. pylori)感染によって引き起こされる胃炎に対するアディポネクチンの意義を検討する目的で以下の検討を行った。 ヒト胃上皮細胞株(AGS)およびヒト単球系細胞株(THP-1)をアディポネクチンの存在下あるいは非存在下で3時間培養した後H. pylori菌体水分画可溶成分(Hp water extract)を添加し、炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor-alpha (TNF-alpha)およびinterleuk in-8 (IL-8)の産生に対するアディポネクチンの効果について検討した。その結果、アディポネクチンはHp water extractによるTNF-alphaおよびIL-8の産生を若干ながら亢進させる結果が得られた。最近ではアディポネクチンはある条件化や病態では炎症をむしろ亢進させる可能性を示唆する研究結果が報告されているが、H. pylori菌体成分により誘発される炎症性細胞内シグナル伝達の活性化と炎症性サイトカインの産生をアディポネクチンが増強させるのかどうかについては、再検討を要するものと考える。来年度は今回得られた結果の再検討とその結果の分子生物学的機序の裏づけを細胞内シグナル伝達機構の点から明らかにし、ヒトにおけるH. pylori胃炎の病態解釈を試みる予定である。
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