2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590734
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岡 政志 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (40334396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 雅夫 和歌山県立医科大学, 教授 (50143425)
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Keywords | 腸内細菌叢 / 胃酸分泌 / 血清ペプシノゲン法 / プロトンポンプ阻害薬 / H2ブロッカー |
Research Abstract |
研究成果:1)プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびH2プロッカー(H2RA)投与ラットおよびcontmlラットに対して、腸内細菌叢を12種の菌種および菌群について糞便の細菌特異的primerによるPCRを行うことで腸内細菌数の半定量化を行った。結果、多くの菌種・菌群について、PPI投与ラットにおいてcontrolラットに対して有意な菌数増加を認めた。PPIの投与量については用量依存的に菌数が増加し、H2RAでは菌数はあまり増加が見られなかったことから、胃酸分泌の減少は腸内細菌の増加をもたらすことを証明したと考えられる。また、いくつかの特定の菌種・菌群において著明な増加を認めたことから、胃酸の減少による特定の腸内細菌の増加が腸疾患の発症の原因の一つとして考えられる。 2)インフォームド・コンセントを得た被験者の糞便において、1)と同様の菌種・菌群のPCR解析を行った。血清ペプシノゲン法が陽性である、胃酸減少を伴った被験者において、対照群である被験者に比べて、有意な菌数増加を認めた。1)と同様に胃酸分泌の減少は腸内細菌の増加をもたらすことを証明したと考える。 意義・重要性:胃における胃酸は、上部消化管から腸に至るルートにおいて、細菌をブロックするバリアと考えられるが、その破綻によって腸内細菌が増加し、各種疾患を引き起こすものと考えられ、今後のさまざまな腸疾患の病態解明に役立つものと考えられる。
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