2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるインターフェロン産生キラー樹状細胞の治療効果と臨床応用
Project/Area Number |
19590738
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
廣石 和正 昭和大学, 医学部, 准教授 (80296996)
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Keywords | 樹状細胞 / インターフェロン / ナチュラルキラー細胞 / 腫瘍免疫 / 免疫治療 / 大腸癌 |
Research Abstract |
本研究は、IFN産生キラー樹状細胞(IKDC)またはナチュラルキラー樹状細胞(NKDC)と呼ばれる樹状細胞のサプセットの分離、培養法を確立し、その性状を解析し、マウス生体内での抗腫瘍効果とその作用機序を検討することを目的とする。 平成22年度はIKDCの抗腫瘍効果を観察する目的で、マウス大腸癌治療モデルを作成した。低免疫原性マウス大腸癌細胞野生株MC38 1×10e5個をマウスの背部に皮下接種し、予め腫瘤を形成させた担癌マウスに対して、野生株投与7日後に1) HBSS、または、2) 1×10e6個の骨髄系樹状細胞、3) 1×10e6個のIKDCをそれぞれ腫瘤の近傍に皮下に投与した。その後に、野生株皮下腫瘤を計測して腫瘍増殖抑制効果を比較検討した。 すると、野生株接種28日後には、HBSS投与群や骨髄系樹状細胞投与群(mDC)と比較して、IKDC投与群では有意に野生株腫瘤の大きさが小さいことが分かった(Day 28; HBSS 277.50±24.30, mDC 251.60±24.30, IKDC 149.00±21.32; p=0.005)。 今後はマウス大腸癌モデルで認められた抗腫瘍効果の、免疫学的作用機序を検索していく予定である。これまでマウス脾細胞よりIKDCの分離誘導を試みてきたが、1匹のマウスから得られるIKDC細胞数にはかなりの差異がみられるため、安定した実験系を確立するためには、今後、さらなる誘導法の工夫が必要である。 さらに、これらのマウスでの研究データをもとに、ヒトIKDCについて詳細に検討していく。IKDCの表面マーカーやサイトカイン産生能、アロリンパ球刺激能、癌細胞傷害能を、健常者と担癌患者で比較検討する。そして、それらの機能を増強するサイトカインや薬物を探索し、臨床への応用を探求していく予定である。
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Research Products
(4 results)