2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管間質腫瘍(GIST)の再発・転移に関与する遺伝子に関する研究
Project/Area Number |
19590743
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
澤木 明 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 研究員 (10426489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 豊 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (00419897)
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Keywords | GIST / DNAメチル化 |
Research Abstract |
Gastrointestinal stromal tumor(GIST)は、胃や小腸、大腸などの消化管に発生する間葉系由来の腫瘍であり、KIT遺伝子やPDGFRα遺伝子の変異が高頻度に認められる。しかしGISTには、転移を伴う極めて予後不良な群と、腫瘍の増大が遅く転移を伴わない予後が比較的良好な群を認め、それらの分子生物学的な違いは明らかになっていない。今回我々は、GIST48例(胃原発25例、小腸原発19例、大腸原発4例)を対象とした。GISTは検体採取時にすでに再発・転移をきたしているものに加えて腫瘍径と腫瘍細胞の核分裂像から予後の不良が予測される悪性GIST群(38例)と、臨床像から根治が高率に期待される良性GIST群(10例)に分類した。Methylated CpG Island amplification-microarray(MCAM)法を用いて6,157遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化異常を綱羅的に解析した。同定した遣伝子のメチル化状態をパイロシークエンス法により定量的に解析してGISTの臨床病理学的背景との関連を検討した。44症例(90%)でKIT遺伝子(42症例)もしくはPDGFRα遺伝子(1症例)のいずれかの変異が認められたが、遺伝子変異とGISTの悪性度、DNAメチル化様式には相関が認められなかった。6,157遺伝子のうち良性GIST群では375遺伝子、悪性GIST群では503遺伝子でDNAメチル化異常を認め、悪性度の高いGISTで有意に高頻度にDNAメチル化異常を認めた(P=0.01)。また悪性GISTと良性GISTは異なったクラスターに集積する傾向にあった。総ゲノムのDNAメチル化を反映するLINE1のメチル化レベルは良性GIST群で69%、悪性GIST群で65%であり、悪性度の高いGISTでLINE1のメチル化低下が認められた(P=0.004)。以上の結果より、GISTの発症にはKIT遺伝子、PDGFRα遺伝子のチロシンキナーゼ受容体の変異が重要であるが、その進展にはゲノム全体の低メチルとプロモーター領域のメチル化亢進が深く関与していると考えた。
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Research Products
(3 results)