2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 均 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 准教授 (80202422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90227637)
手島 一陽 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (30396733)
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Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / 肝障害 / 肝線維化 / 肝再生 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸は細胞の生存・増殖・分化、血管系の構築をはじめとする種々の生体反応において重要な役割を担うリン脂質メディエーターであり、in vitroにおいて肝細胞、星細胞といった肝臓を構成する細胞に作用することを我々は明らかにしてきた。これらの知見に基づき、スフィンゴシン1リン酸が肝障害において何らかの役割を果たしていることを示すものと考えた。この点を明らかにすべく、まず、肝障害におけるスフィンゴシン1リン酸の血中での変動について検討した。ラットにdimethylnitrosamineを投与して作成した急性肝障害モデルにおいてスフィンゴシン1リン酸の血中濃度は低下した。また、ラットに四塩化炭素を反復投与して作成した肝線維化モデルにおいては、線維化進展に伴いスフィンゴシン1リン酸の血中濃度は低下した。さらに、ヒト慢性肝炎および肝硬変症例においてスフィンゴシン1リン酸の血中濃度は障害が進むほど低下することが確認された。従って、スフィンゴシン1リン酸は肝障害の程度により、その血液中の量が減少することが推定される。一方、肝臓に障害が加わるとスフィンゴシン1リン酸受容体であるSIP_2のmRNA発現が亢進することが明らかとなった。以上の肝障害における血液中スフィンゴシン1リン酸とその受容体の変動は、スフィンゴシン1リン酸が実際に肝障害において何らかの役割を果たしていることを示唆するものと考えている。次年度にはスフィンゴシン1リン酸受容体SlP_2欠損マウスに肝障害を惹起させ、障害がどのように修飾されることを調べることにより、スフィンゴシン1リン酸の肝障害での役割にさらに迫りたいと考えている。
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