2008 Fiscal Year Annual Research Report
包括的ゲノム解析による膵癌の抗癌剤感受性、高危険群の検討
Project/Area Number |
19590751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹平 直樹 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (30401102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 稔 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80302719)
浅岡 良成 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90431858)
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Keywords | 膵癌 / 高密度オリゴヌクレオチドアレイ / 遺伝子増幅 / LOH(ヘテロ接合性の消失) / 胆道癌 / CYP2C19 |
Research Abstract |
癌細胞のゲノムでは、特定の遺伝子領域で増幅や欠失が起こることが知られている。近年、大規模SNPタイピングを目的として開発された高密度オリゴヌクレオチドアレイが、染色体コピー数変化およびLOHを同時に解析できるということがわかった。そこで、このアレイを用いて膵癌細胞株25種類のゲノム異常の網羅的解析を行った。この方法を用いることで、既知の癌抑制遺伝子であるp16の欠失、癌遺伝子であるKRASの増幅を確認することができた。さらに、新規のホモ欠失および増幅領域を8領域ずつ見出すことが可能であった。ホモ欠失領域では、一つの領域に平均1.42個の遺伝子があり、最小領域は6kbであった。増幅領域では、一つの領域には平均4.87遺伝子があり、最小領域は146kbであった。LOHは9p,18q,17p,8p,13q,6q,3p,6p,22q,9qと12qにおいて50%以上の細胞株に認めた。この新規に増幅および欠失あるいはLOHを認めた領域に関して、膵癌手術検体を用いた解析を行った。レーザーマイクロダイセクションを用いて、腫瘍部、非腫瘍部のDNAを抽出し、定量的PCR、マイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析を行うことで、臨床検体でも、同様の異常を認めることを確認し、報告した。一方で、薬剤の代謝に関わる多型であるチトクローム450のSNPを膵癌および胆道癌で解析した。近年、抗血小板薬やプロトンポンプ阻害剤の代謝に関わるCYP2C19のSNPが胆道癌の発癌に有意に関わることがわかった。われわれは以前より、膵癌および胆道癌の高危険群の効率的な囲い込みを目指してきた。本研究により、臨床情報だけでなく、遺伝学的要素を組み込むことによりより精度の高い囲みこみを行っていける可能性が示唆された。
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