2008 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス蛋白NS3ヘリカーゼによるウイルス増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
19590756
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
前川 伸哉 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (70397298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
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Keywords | HCV / NS3ヘリカーゼ / 自然免疫 / HCVゲノムシークエンス |
Research Abstract |
●本研究の目的はC型肝炎ウイルス(HCV)増殖制御因子として、我々が最近明らかにしたHCV非構造蛋白NS3ヘリカーゼ・ドメインに着目し、同領域によるHCV増殖制御機構の解明を通して、新たな抗HCV治療戦略の基盤を形成することにある。 ●我々は高増殖HCV株HCV-Nと低増殖HCV株HC-J4を用いたHCVゲノム相同組換えによる検討で、NS3ヘリカーゼ領域とNS5Bから3'UTR領域の2領域がHCVの細胞内増殖力を決定づける重要な領域であることを明らかにしていたところから本研究は開始された。これまでヘリカーゼ領域における6アミノ酸に増殖決定部位が絞りこまれること、さらにNS3蛋白構造によってRIG-I/TLR3自然免疫阻害活性が異なること、自然免疫阻害活性と細胞内HCV増殖能が関連することを明らかにした。 ●本年度においてはさらに、NS3蛋白構造とHCV増殖・薬剤感受性との関連を明らかとするため、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を施行したC型慢性肝炎患者126症例において、治療開始前の血清を用いてHCV全ゲノムシークエンスを行い、ウイルス増殖力、あるいは薬剤感受性と関連するHCVのゲノム領域の抽出を行った。現在HCVのNS5A、あるいはコア領域における特定の変異と薬剤感受性、ウイルス量が著明な関連性があることを明らかとした。NS3と関連する臨床パラメータについては、さらなる解析により検討を進めており、NS3構造の臨床的意義についてさらに明らかにしつつある。
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