2008 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎の抗ウイルス療法における血中RNA遺伝子量測定の意義
Project/Area Number |
19590757
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 榮司 Shinshu University, 医学部, 教授 (50163506)
|
Keywords | B型肝炎 / RNA遺伝子 / 抗ウイルス療法 |
Research Abstract |
昨年度はB型肝炎ウイルス(HBV)RNA量の測定系の基礎検討を行い2.6 log copy/mlの感度で定量的に測定することが可能になった。本年度は、これに加え、HBV DNA量とRNA量を同時に測定する方法(HBVD-RNA量)を検討し、これを2.6 log copy/mlの感度で定量的に測定することが可能になった。このD-RNA量測定法は、HBV RNA量測定法において、DNA分解酵素での処理段階を省いた方法である。核酸アナログ薬非投与下ではHBV RNA量はDNA量に比較して極めて少ないので、HBV D-RNA量はDNA量と有意に相関する。一方、核酸アログ薬投与下ではHBV RNA量とDNA量は逆転するため、D-RNA量はRNA量を主に反映する。HBV D-RNA量測定法はDNA分解酵素での処理過程がないので、RNA量測定法に比較しより簡便で安定した測定結果が得られた。このため、臨床的に使用するにはD-RNA量測定系の方がRNA量測定系より適していると考えられた。 HBVコア関連抗原量はHBV遺伝子のPre-C・C遺伝子から転写・翻訳される抗原をまとめて測定する系である。HBVコア関連抗原量は、核酸アナログ薬非投与下ではDNA量と有意に相関した。これに対し、核酸アナログ薬投与下ではRNA量やD-RNA量と有意に相関した。 本年度の研究で、HBV関連核酸や抗原の測定系として、DNA量、RNA量、D-RNA量、コア関連抗原量の4つが揃った。この4測定法の臨床的意義を核酸アナログ薬治療例のシリーズ血清を用いて検討した。この結果、核酸アナログ薬投与開始後、HBV DNA量は速やかに低下したが、HBV RNA量、HBV D-RNA量、HBVコア関連抗原量の低下は有意に緩徐であった。
|
Research Products
(6 results)