2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性膵炎におけるCFTR遺伝子の役割:非コード領域による発現調節と発症との関係
Project/Area Number |
19590758
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 洋 Nagoya University, 総合保健体育科学センター, 准教授 (90303651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教 (60402385)
藤木 理代 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 講師 (50454450)
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Keywords | CFTR / 慢性膵炎 / 非翻訳領域 / 遺伝子変異 / 遺伝子多型 / 汗中Cl-濃度 / 指先汗クロライド試験 / 転写調節 |
Research Abstract |
上皮細胞に発現するcAMP依存性のイオンチャネルCFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)の遺伝子多型と慢性膵炎との関連を解明するため、慢性膵炎患者88人(アルコール性慢性膵炎患者65人、特発性慢性膵炎患者23人)および健常人118人を対象に、CFTR遺伝子多型の解析を行った。翻訳領域の遺伝子多型の解析は既に終了しており、本年度は、転写調節に影響を及ぼすと推定される非翻訳領域(プロモーター領域を含む翻訳領域の上流約2kb)の遺伝子解析を行った。その結果、アルコール性慢性膵炎患者に特有な変異-1523G/A(1例)、-790ΔT(3例)が見つかった。-1523G/Aはこれまで報告がない。-790ΔTはトルコ人のCF家系での報告はあるが、その他の人種での報告はなく疾患との関連も不明である。TFSEARCHを用いた解析により、-790付近は転写調節因子HFH-2(FOXD3)の結合配列モチーフを持つことがわかった。今後これら変異が遺伝子発現量に及ぼす影響をルシフェラーゼアッセイ法で測定する予定である。 CFTRの機能低下を簡便に診断するために、親指の指腹からの自然発汗のCl^-濃度を測定する方法を開発した。左右の同じ部位からの発汗量がほぼ等しいことを利用し、片側の親指からの発汗率をデジタル発汗計で測定し、対側の親指から採取した汗のCl^-量を測定して、汗中Cl^-濃度を求める。Cl^-量の測定は、キャピラリー電気泳動法あるいは高感度Cl^-電極を用いた。健康正常人の汗中Cl^-濃度は平均38 mMであった。高感度Cl^-電極を用いれば安価に短時間に測定できるので、嚢胞線維症あるいは慢性膵炎の早期診断に有用と考えられる。
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