2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患における遺伝子プロモーターのメチル化不安定性の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
19590761
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 直生志 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60281755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 善弘 京都大学, 医学研究科, 教授 (50127130)
西村 貴文 京都大学, 医学研究科, 助教 (40378732)
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Keywords | 肝細胞癌 / 癌抑制遺伝子 / エピジェネティクス / 遺伝子診断 / C型慢性肝炎 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子プロモーターの異常メチル化は肝発癌に重要である。一方、慢性肝疾患は発癌リスクの高い病態(ウイルス性肝炎など)と低い病態(自己免疫性肝炎など)に大別できる。本研究では、発癌リスクの高い慢肝疾患とリスクの低い病態でのメチル化プロファイリングの違いを、21種の癌抑制遺伝子プロモーターのメチル化レベルを解析することにより明らかにした。その結果、C型慢性肝炎では、肝癌で異常メチル化が報告されているp16,HIC-1, RASSF1A, APC, GSTP1, CASP8, RIZ1,SOCS1遺伝子のプロモーターが低レベルながら高率に異常メチル化を示した。一方、ウイルス陰性の慢性肝疾患では、それらの頻度が少なく、特に自己免疫性肝炎では異常メチル化は認められなかった。C型慢性肝炎組織において、上記のメチル化を示す癌抑制遺伝子数は肝細維化と比例しており、持続的なHCV感染が肝細胞の異常メチル化を進展させる可能性が示唆された。 インターフェロン治療前後で慢性C型肝炎組織に認められるメチル化が改善するかどうかを検討した。治療にてウイルスが消失した例では、インターフェロン終了直後の肝組織ではメチル化の改善は認められなかったが、治療後2年目の肝組織では異常メチル化が消失している例が認められた。 癌抑制遺伝子のメチル化が癌化早期のイベントであることを証明するため、肝癌の前癌病変と考えられる、dysplastic nodule、及び径2cm以下の高分化肝癌を用いて、各遺伝子座位でのメチル化のレベルが上昇しているかどうかを検討した。これらの前癌〜早期の病変でも複数の癌抑制遺伝子の高レベル、高頻度のメチル化が観察された。 以上の結果はC型肝炎が肝組織の異常メチル化を促進することを示唆しており、これらの異常メチル化を検出することにより、発癌リスクを推定することができる。また、発癌早期から高レベルのメチル化を示すCpG座位を同定しており、これらのメチル化は腫瘍カーカーとして有用であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)