2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性膵炎発症における自然免疫の関与と自己抗原の解析
Project/Area Number |
19590762
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 彰功 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (50362463)
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Keywords | 内科 / 免疫学 / 動物 / 自己免疫性膵炎 / toll-like receptor |
Research Abstract |
toll-like receptor (TLR)3リガンドのpoly I:CやCpG (TLR9リガンド)投与でMRLマウスに膵炎が発症するが、LPS (TLR4リガンド)投与では膵炎が発症しないことより各群の血清サイトカインについて比較検討した。各群とも炎症性サイトカインは増加したが、膵炎を発症したpoly I:CおよびCpG投与群に比べ膵炎を発症しないLPS投与群では抗炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-10の上昇がみられ、IL-10が膵炎発症を抑制していると推測された。C57BL6由来IL-10欠損マウスを用いてIL-10の作用を検討した結果、野生型マウスにpoly I:Cを投与しても膵炎は発症しなかったが、IL-10欠損マウスではpoly I:C投与により大腸炎の増悪とともに膵炎が発症し、膵炎発症抑制にIL-10が重要であることが示された。膵炎発症IL-10欠損マウス脾細胞をRag2欠損マウスに移入した結果、CD4陽性T細胞の移入で膵炎が発症したがCD8陽性T細胞の移入では膵炎が発症せず、CD4陽性T細胞がeffector細胞であることが示された。さらに、LPSをpoly I:CやCpGに併用投与した結果、LPSによる膵炎抑制はみられず、逆に膵炎の程度が増強した。血清サイトカインの検討では併用投与による炎症性サイトカインの増加がIL-10の増加を上回り、TLR刺激の結果生じた炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの不均衡が自己反応性T細胞の活性化を引き起こし、自己免疫性膵炎の発症に至ると考えられた。また、LPS併用投与群では膵炎に加え線維化も進行しており、LPS投与による血清TNF-α上昇が膵線維化に関与している可能性が示唆された。
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