2007 Fiscal Year Annual Research Report
難治性C型肝炎に対する細胞免疫制御に基づく個別化治療の開発
Project/Area Number |
19590764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠原 彰紀 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (70214286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362700)
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Keywords | C型肝炎 / 樹状細胞 / ペグインターフェロンα / リバビリン / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
肝癌の予防のためには慢性肝炎から肝硬変への進展を抑制することが重要であり、そのためにはHCVの排除が望まれる。C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法として、ペグインターフェロンα(ペグIFNα)とリバビリンの併用療法が可能となり、HCV排除率は改善した。しかしGenotype1型、高ウイルス量の難治例に対しては、HCV排除率は約50%であり、約半数以上の患者は肝硬変・肝癌の高リスク群として残されている。HCVの排除にはTh1型の免疫応答が重要であることが報告されている。しかし抗ウイルス剤による免疫細胞機能の回復効果、そのHCV排除への関与の有無に関しては明らかではない。本年度は、抗ウイルス療法抵抗性の機序の解明と治療効果に関連する免疫細胞マーカーの探索を目標とした。C型慢性肝炎患者の樹状細胞(DC)では、IFNαによって誘導される成熟化やTh1誘導能の亢進が非感染者のDCに比べ低下しており、DCのIFNα反応性が低下していた。しかしリバビリンによってDCのTh1誘導能が回復する症例では、IFNα/リバビリン併用療法によって高率にHCVが排除された。またペグIFNα/リバビリン併用療法において、治療中のプラスマサイトイド樹状細胞の頻度が高く、終了時にDCのT細胞刺激能が回復している症例では、終了後の再発率が低かった。以上の結果はIFNα/リバビリンによるHCV排除にDCが関与することを示しており、DCが免疫制御治療の標的となり得ることが明らかとなった。一方、HCV排除が得られなくても治療後に肝機能が正常化する症例では、肝癌発症率が低いことが知られている。免疫抑制機能を持つ制御性T細胞(Treg)頻度が治療中に増加する症例では、HCV排除の有無に関らず終了後にALTが正常化した。DCやTregの解析をウイルス学的反応に加味することで、個々の治療反応性に応じた抗ウイルス治療のスケジュールを提供することが可能となる。
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Research Products
(9 results)