2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性C型肝炎に対する細胞免疫制御に基づく個別化治療の開発
Project/Area Number |
19590764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠原 彰紀 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (70214286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30362700)
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Keywords | C型肝炎 / 樹状細胞 / ペグインターフェロンα / リバビリン / 制御性T細胞 / 性差 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα/リバビリン併用療法によって治療成績は改善したが、Genotype 1型、高ウイルス量の難治例におけるHCV排除率(SVR)は約50%である。高齢の女性は更にSVRの低い難治群であり、性ホルモンや免疫学的反応性の関与が想定されているが、その詳細は明らかではない。今年度は難治性C型慢性肝炎患者に対するPEG-IFNα/リバビリン併用療法において、ウイルス反応性、薬剤投与量(Adherence)、免疫学的反応性と治療効果との関連を検討し、免疫細胞マーカーに基づくResponse-guided therapyの有用性を明らかにすることを目的とした。また樹状細胞のサイトカイン産生能を性別に解析することで、女性における免疫反応性を明らかにすることを目的とした。PEG-IFNα/リバビリン併用48週投与において、4週から12週までに陰性化した症例(EVR)の約30%、12週から24週までに陰性化した症例(LVR)では約70%が再燃した。LVR例に対しては、治療期間を72週へ延長することで再燃率が低下し著効率が向上した。ウイルス反応性のみでは、EVR例の中での再燃例やLVR例の中で長期投与の必要のない症例などを判別することは困難である。免疫反応性の評価が、これらの予測に有用か否かを明らかにするために、樹状細胞(DC)や制御性T細胞(Treg)の頻度とDC機能などを、ウイルス因子、宿主因子、薬剤投与量などに加えて多変量解析を行った。その結果、血小板数とPDC頻度が、48週投与での独立したSVR規定因子として抽出された。また、PDCをTLR9やTLR7のリガンドで刺激した際のIFNα産生能は、女性の方が男性より低値であった。これは、抗HCV作用を期待されているTLRリガンドへの反応性、更には内因性リガンドに対するPDCの反応性が女性で低下している可能性を示唆している。免疫学的性差を来す機序の解明が、女性=難治群の治療効果を改善する方法の開発に繋がる可能性が示唆された。
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