2007 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞を介した統合的免疫制御によるC型肝炎・肝癌治療法の開発
Project/Area Number |
19590765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
考藤 達哉 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362700)
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Keywords | 樹状細胞 / C型肝炎 / Toll様受容体 / RIG-I |
Research Abstract |
HCV感染症は種々の免疫細胞の機能異常を来たし、持続感染や肝細胞障害に関与する。初感染から肝癌へ至る経過を阻止するためには、免疫系の制御が必須である。HCVに対して免疫系が発動するためには、ウイルスセンサー分子であるTLR、RIG-I、MDA-5がHCVを認識し、樹状細胞(DC)を活性化する必要がある。本年度はHCV感染症におけるTLR、 RIG-I/MDA-5の免疫系での意義を明らかにするために、ミエロイドDC(MDC)におけるTLR、 RIG-I/MDA-5の発現と機能を解析した。C型慢性肝炎患者のMDCでは、非感染者と比較してTLR2、 TLR4、 RIG-Iの発現は増加しているが、TLR3、 MDA-5の発現には差を認めなかった。C型慢性肝炎患者MDCでは、各TLRやRIG-Iに対するアゴニスト刺激によるIFN-β、 TNF-α、 IL-12などの産生は非感染者に比べ低下しており、TLR/RIG-I下流に強い阻害機序が存在する可能性が示唆された。このシグナル阻害機序を明らかにするために、TLR/RIG-I下流シグナルやアダプター分子の遺伝子発現を網羅的に解析し、C型慢性肝炎愚者と非感染者とで比較した。その結果、C型慢性肝炎患者MDCではMAPK系とNF-κ B系の発現が低下しており、TRIF、 TRAF6の発現が低下していた。以上より、C型肝炎患者MDCではHCV感染によりTLR/RIG-Iの発現が誘導されるにも関らず、シグナル伝達経路の阻害によってサイトカインの誘導能が低下していた。これはDCがHCVを十分に感知できず、効果的に免疫系を活性化できない可能性を示している。またMDCの機能低下はHCVNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤によって部分的に回復した。従ってプロテアーゼ阻害剤による治療では、そのHCV複製抑制作用のみならず、DCにおけるTLR/RIG-I系の機能回復による免疫賦活作用も期待できることが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)